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YOUNG ARCHITECTS & ENGINNERS / STUDENT SQUARE

気持ちのいい場所をつくりたい

SCENE_1 設計競技提案
3. そもそも誰のための建築か

この温泉を訪れた人が如何に気持ちよくなれるか。又、この恵まれた眺望を如何に感動に結び付けられるか。これを考えなければプラスアルファの魅力は生まれない。客室を出てから湯に浸かりそして帰るまでを想像し、図面の中を何度も繰り返し歩きながら各々のシーンを確認してみる。パノラマに出会うクライマックスの感動をより膨らます為のアプローチの長さと変化、混雑時でも眺望を満喫しながらゆっくりと過せる風呂、湯上り後の余韻に浸れる場所、、、そんなことをあれこれ考えながら平面、断面は次第に固まっていった。 そもそも誰のための建築か。お金を頂くクライアントの意向を尊重するのは当たり前のこととして、もっと大切なのはこの温泉の利用客が如何に満足できるかであり、そして更に大切なのは自然や景観を含め、この場所そのものが持つ固有性への配慮であると思う。一方で大切でないものは設計者の自己満足的な欲望やこだわりであったり、又、新しさや派手さを競い合う商業主義的なデザインであろう。設計をする者は常に一歩身を引いて全体を見通せる立場でいられる客観性と謙虚さが必要だと思う。建築の存在は見えなくてもいい。見せる為のデザインではなく空気が作れればいいと思った。

予感・湯煙のいざない予感・湯煙のいざない
期待・外湯の佇まい期待・外湯の佇まい

感動・棚湯の絶景感動・棚湯の絶景
余韻・寛ぎの場所余韻・寛ぎの場所