大成建設株式会社と株式会社カネカの共同開発技術である、ガラス一体型発電システム「T‐Green® Multi Solar」が、2024年日本建築学会賞(技術)を受賞しました。
※技術の詳細は以下をご覧ください。
一般社団法人日本建築学会が主催する日本建築学会賞は、建築に関する学術・技術・芸術の進歩発達をはかるとともに、わが国の建築文化を高める目的で、建築に関する特に優秀な業績を表彰するものです。
その中で、日本建築学会賞(技術)は、近年中に完成した建築に関する技術であって、特定の建築・工法・材料・手法等に結実した新しい技術(研究・開発を含む)を評価の対象としており、技術の発展に寄与し優れた成果に結実した技術を表彰するものです。
年3件という限られた表彰件数の中で、今年は3件の表彰のうち2件が以下の当社応募技術という輝かしい実績を収めることが出来ました。
・受賞名:外装一体型太陽電池モジュールの実用化と建物への実装(当ページで紹介)
・受賞名:高強度鉄筋を緊張材とするPCaPC梁の開発と木質材料利用への展開
一般社団法人日本建築学会:https://www.aij.or.jp/
T‐Green® Multi Solar
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カーボンニュートラル社会に向けた、「採光」「発電」「意匠性」を兼ね備える画期的な外装システム
ZEBの普及ひいてはカーボンニュートラルの達成を図る上で、建物・人口・エネルギー密度の高い都市部における創エネの実現手法が課題でした。設置場所の制約が多い都市部で太陽光発電を普及させるために、ビルの壁および窓の外装と一体化したガラス一体型太陽光発電システム「T-Green® Multi Solar」を開発しました。
「T‐Green® Multi Solar」は、ビルの外装(壁面や窓面)を有効活用し、太陽光発電を効率的に行うシステムです。太陽電池をガラスで挟み込むことで、外装そのものが発電システムとなり、様々な建物に導入できます。高い発電効率に加えて、意匠性および眺望・採光・断熱・遮熱といった性能も兼ね備えた製品で、カーボンニュートラル達成やレジリエンス向上にも貢献します。
選択肢が広がる2つのタイプ
「シースルータイプ」は、透過型で眺望が楽しめ、窓に適した太陽電池です。表と裏の両面で発電が可能なため、遮熱のために窓ガラスが反射する近赤外線も利用して発電効率を上げることができます。また、断熱性や遮熱性といった省エネ機能も付与できます。
「ソリッドタイプ」は、発電面内に銀色の太い配線を使わないシングリングという技術で、発電性能と壁に適したシンプルな意匠を両立しています。
気候変動対策としての貢献度
カーボンニュートラル達成のためには太陽光発電設備等の再生可能エネルギーの導入が一般的に広く普及することが重要です。壁面設置のBIPVに適した市場面積は年間800万m2超を想定しており、2050年度に市場の10%強まで毎年設置規模を拡大した場合、太陽光発電協会のガイドラインに基づけば累計で60万トン以上の CO2削減効果が期待されます。株式会社カネカ(共同開発者)が本製品について30年間の出力保証を付与しており、CO2削減効果が長期的に安定して期待できます。さらに、断熱・遮熱による省エネ効果も得られます。
期待される波及効果
屋根や屋上設置に比べて、壁や窓に設置した太陽光発電システムは意識されやすいという利点があります。この発電量や CO2削減量を見える化すると、脱炭素化や省エネの意欲向上につながることが期待できます。また、建物外壁に発電機能を付加することで「ビルがまるごと発電できる」という新たな概念を普及することができ、多くの施設で太陽光発電の導入検討が加速されます。建物単体で自立した電源を有するので、停電時の非常用電源としても活用でき、街のレジリエンス向上にもつながります。
今後の計画、持続的な展開の展望
量産化によるコストダウンや高効率化に加え、既存建物のリニューアルに適した製品開発や、バルコニーなどの新たな設置形態による導入拡大を進めています。また、防眩タイプやカラータイプによりデザインのバリエーションを増やし、適用範囲を拡げます。さらに、二国間クレジット制度などを活用し、海外への普及展開も進めていきます。
- NEWS:
- 「T-Green® Multi Solar」が気候変動アクション環境大臣表彰 気候変動アクション大賞を受賞
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- 「T‐Green® Multi Solar」が環境・設備デザイン賞最優秀賞を受賞
- WORKS:
- 古平町複合施設かなえーる
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- 大成建設 横浜支店ビル グリーンリニューアル
大成建設担当者
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- 技術開発
- 梅田和彦
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- 設備設計
- 山口亮
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- 技術開発
- 宮嶋禎朗