- 用途
- 事務所
- 所在地
- 神奈川県横浜市中区
- 延床面積
- 9,339.97m2
- 階数
- 地下2階、地上9階、塔屋3階
- 竣工年
- 1974年
- 改修年
- 2023年
建築設計コンセプト
中規模オフィスストックの汎用技術による「都市型ZEB化リニューアル」
新築に対し既存ビルの延床面積は98%を占めるという現実に対し、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、既存ビルに汎用技術を用いて「都市型ZEB化リニューアル」の実証・実践を行いました。
竣工後50年を迎える中規模オフィスビルに対し、外皮性能の向上、新技術を含む省エネ設備機器の設置、 太陽光パネル「T-Green® Multi Solar(新規開発のカラーソリッド防眩タイプ含む)」の設置を行いBELS認証を取得、ZEB Readyを達成しています。
省エネ・創エネの技術採用以外にも、内装の木質化、再生建材の積極的な利用、バイオフィリックデザインを取り入れるなど環境負荷を軽減すると共に、ワーカーに対するエンゲージメントの向上も意識したリニューアルとなっています。
各階にはZEB化リニューアルの汎用技術を社外に発信するための見学スペースも設けています。
デザインコンセプト
本建物の周辺の土地は、江戸時代には吉田勘兵衛氏が埋め立てたことから吉田新田と呼ばれる水田が広がり、明治時代には運河計画によりこの地域が発展していったという歴史的背景があります。
昔から水と深い関わりのある土地の記憶から「循環し輝く 水」を全体デザインコンセプトとし、各所の関連モチーフによるデザインに展開しています。
構造設計コンセプト
建築計画と調和した構造計画
今回の創エネ技術を採用した外装の改修に伴い、下地部材を設置する跳ね出しスラブに対し鉄骨補強を行い建築計画に対し無理のない構造計画としています。
設備設計コンセプト
汎用技術と新規技術の実証・実践
新築工事のZEB化事例は多数ありますが、既存建物を改修してZEB化を達成した事例は少なく、横浜支店ビルは竣工後約50年を迎える建物ですが、建築と設備の改修工事を行い、ZEB Ready(BEI=0.39)を達成しました。
2017年に実施した横浜支店移転改修工事では、主に低層部(地下1階~3階)の改修を行い、当時の図面を基にWEBプログラムで計算するとBEI値が0.70となりました。2022 年のZEB化改修工事では、2017年に更新を行わなかった高層部をターゲットとして建築と設備の改修工事を行い、汎用技術(高COP仕様のパッケージ、照明LED化+設計照度500lx)と全館に「T-Zone Saver」を導入することよりBEI=0.43、さらに創エネ技術(太陽光発電71.7kW)の採用により BEI=0.39となりました。
現在はグループ企業からの創エネ電力の自己託送と地域再生エネルギーの購入、またエネルギーマネジメントシステムによる最適化により、エネルギー収支ゼロ達成を目指し実証を行っています。
また新規技術として薄型放射空調ダクト、排気活用型窓システムを開発し、外気処理機と室内機の最適バランス制御も導入しています。
担当
担当 | |
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設計 | 大成建設株式会社一級建築士事務所 |
大成建設担当者 | |
建築設計 | 西田勇人、小椋圭介、渡邉真由美 |
構造設計 | 小山智子、岩田歩 |
設備設計 | 竹内伸介、賀上貴明 |
電気設計 | 竹内伸介、古宇田真一 |
新規技術開発 | 豊原範之、菅原圭子 |
T-WOOD SPACE Light 構造検証 | 相馬智明 |
技術コンテンツ監修 | 山﨑信宏、工藤安代、北古潤 |
社外受賞
2024年 | 外壁改装作品コンテスト 優秀賞 |
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2024年 | 第8回 外壁改装作品コンテスト 優秀賞 |