NEWS 2024.01

「T-Green® Multi Solar」が
気候変動アクション環境大臣表彰 気候変動アクション大賞を受賞

  • 「シースルータイプ」と「ソリッドタイプ」の2つの製品から構成

    「シースルータイプ」と「ソリッドタイプ」の2つの製品から構成

  • 「シースルータイプ」を採用した場合の内観イメージ

    「シースルータイプ」を採用した場合の内観イメージ

  • 導入事例:窓の下部にシースルータイプ設置(合計 約5kW)

    導入事例:開成学園
    窓の下部にシースルータイプ設置(合計 約5kW)

  • 導入事例:ガラス手摺にシースルータイプ設置、窓の上部にソリッドタイプ設置、窓の上部にソリッドタイプ設置、窓の中央にシースルータイプ設置

    導入事例:博多区役所
    (写真左下)ガラス手摺に シースルータイプ設置
    (写真右上)窓の上部にソリッドタイプ設置
    (写真右下)窓の上部にソリッドタイプ設置、窓の中央にシースルータイプ設置

  • 2・3階南面・西面窓の台形状ガラスにシースルータイプ適用

    導入事例:古平町複合施設かなえーる
    (写真右)2・3階南面・西面窓の台形状ガラスにシースルータイプ適用

大成建設株式会社と株式会社カネカの共同開発技術である「T‐Green® Multi Solar」が、令和5年度 気候変動アクション環境大臣表彰気候変動アクション大賞(開発・製品化部門/緩和分野)を受賞しました。
本賞は、「気候変動の緩和(温室効果ガスの排出抑制対策)」及び「気候変動への適応(気候変動の影響による被害の回避・軽減対策)」に顕著な功績のあった個人・団体をたたえるために行う表彰で、気候変動対策推進の一環として環境省が実施しています。 開発・製品化部門 緩和分野での受賞により、省エネ技術、新エネ技術、省エネ製品、省エネ建築のデザイン等、国内外の温室効果ガスの排出を低減する優れた技術の開発によりその製品化を進めたことに関する功績を評価していただきました。

気候変動アクション環境大臣表彰:https://www.env.go.jp/earth/ondanka/min_action_award/index.html

T‐Green® Multi Solar

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T‐Green® Multi Solar
カーボンニュートラル社会に向けた、「採光」「発電」「意匠性」を兼ね備える画期的な外装システム

ZEBの普及ひいてはカーボンニュートラルの達成を図る上で、建物・人口・エネルギー密度の高い都市部における創エネの実現手法が課題でした。設置場所の制約が多い都市
部で太陽光発電を普及させるために、ビルの壁および窓の外装と一体化したガラス一体型太陽光発電システム「T-Green® Multi Solar」を開発しました。
「T‐Green® Multi Solar」は、ビルの外装(壁面や窓面)を有効活用し、太陽光発電を効率的に行うシステムです。太陽電池をガラスで挟み込むことで、外装そのものが発電システムとなり、様々な建物に導入できます。高い発電効率に加えて、意匠性および眺望・採光・断熱・遮熱といった性能も兼ね備えた製品で、カーボンニュートラル達成やレジリエンス向上にも貢献します。

選択肢が広がる2つのタイプ

「シースルータイプ」は、透過型で眺望が楽しめ、窓に適した太陽電池です。表と裏の両面で発電が可能なため、遮熱のために窓ガラスが反射する近赤外線も利用して発電効率を上げることができます。また、断熱性や遮熱性といった省エネ機能も付与できます。
「ソリッドタイプ」は、発電面内に銀色の太い配線を使わないシングリングという技術で、発電性能と壁に適したシンプルな意匠を両立しています。

気候変動対策としての貢献度

カーボンニュートラル達成のためには太陽光発電設備等の再生可能エネルギーの導入が一般的に広く普及することが重要です。壁面設置のBIPVに適した市場面積は年間800万m2超を想定しており、2050年度に市場の10%強まで毎年設置規模を拡大した場合、太陽光発電協会のガイドラインに基づけば累計で60万トン以上の CO2削減効果が期待されます。株式会社カネカ(共同開発者)が本製品について30年間の出力保証を付与しており、CO2削減効果が長期的に安定して期待できます。さらに、断熱・遮熱による省エネ効果も得られます。

期待される波及効果

屋根や屋上設置に比べて、壁や窓に設置した太陽光発電システムは意識されやすいという利点があります。この発電量や CO2削減量を見える化すると、脱炭素化や省エネの意欲向上につながることが期待できます。また、建物外壁に発電機能を付加することで「ビルがまるごと発電できる」という新たな概念を普及することができ、多くの施設で太陽光発電の導入検討が加速されます。建物単体で自立した電源を有するので、停電時の非常用電源としても活用でき、街のレジリエンス向上にもつながります。

今後の計画、持続的な展開の展望

量産化によるコストダウンや高効率化に加え、既存建物のリニューアルに適した製品開発や、バルコニーなどの新たな設置形態による導入拡大を進めています。また、防眩タイプやカラータイプによりデザインのバリエーションを増やし、適用範囲を拡げます。さらに、二国間クレジット制度などを活用し、海外への普及展開も進めていきます。

大成建設担当者

  • 山口亮
    設備設計
    山口亮
  • 高橋章夫
    建築設計
    高橋章夫
  • 小林信郷
    技術開発統括
    小林信郷
  • 宮嶋禎朗
    技術開発
    宮嶋禎朗
  • 梅田和彦
    技術開発
    梅田和彦

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