当社開発技術である、高強度材料を使用したプレテンション方式プレキャストプレストレストコンクリート(PCaPC)梁「T-POP®」と、「T-POP®」をさらに発展させ集成材などの木質材料と一体化した「T-WOOD® PC-BEAM」が、一連の大スパン空間構築技術として2024年日本建築学会賞(技術)を受賞しました。
※技術の詳細は以下をご覧ください。
一般社団法人日本建築学会が主催する日本建築学会賞は、建築に関する学術・技術・芸術の進歩発達をはかるとともに、わが国の建築文化を高める目的で、建築に関する特に優秀な業績を表彰するものです。
その中で、日本建築学会賞(技術)は、近年中に完成した建築に関する技術であって、特定の建築・工法・材料・手法等に結実した新しい技術(研究・開発を含む)を評価の対象としており、技術の発展に寄与し優れた成果に結実した技術を表彰するものです。
年3件という限られた表彰件数の中で、今年は3件の表彰のうち2件が以下の当社応募技術という輝かしい実績を収めることが出来ました。
・受賞名:高強度鉄筋を緊張材とするPCaPC梁の開発と木質材料利用への展開(当ページで紹介)
・受賞名:外装一体型太陽電池モジュールの実用化と建物への実装
一般社団法人日本建築学会:https://www.aij.or.jp/
T-POP®
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大スパン空間を構築する鉄筋コンクリート技術として、高強度材料を使用したプレテンション方式プレキャストプレストレストコンクリート(PCaPC)梁「T-POP®(Taisei Precast Optimized beam with Prestress)」を開発しました。
無柱大空間の実現
緊張材として高強度鉄筋を利用したPCaPC梁に高強度コンクリートを適用することにより、スパン20m超級の無柱大空間を実現できます。
梁断面の縮小化、部材の軽量化
効率的な位置に大きな緊張力が導入できるため、必要となる鋼材量を削減できるとともに、梁断面の縮小化、部材の軽量化が図れます。
高品質、工期短縮、建設廃材の低減
プレキャスト工場での製作により、高品質の確保、現場工期の短縮、建設廃材の低減が図れます。
高い居住性の実現
鉄骨梁と同様に設備用貫通孔を多数かつ自由に配置できるとともに、振動障害が少ない、高い居住空間を実現します。居住性の向上により、病院や工場にも適用できます。
T-WOOD® PC-BEAM
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2050年までのカーボンニュートラル達成に向けた脱炭素社会の実現のため、成長過程で大気中の二酸化炭素を吸収して内部に炭素として貯蔵している木材や集成材などの木質材料の利用が進められています。建設業界においても木材を利用して建築物へ炭素の貯蔵を可能とするような、中・大規模建築物が注目されており、部材のデザインや構造性能などの価値の向上を図り、環境負荷低減に対して量的・質的にも大幅な社会貢献が見込まれています。
そこで当社は、こうしたニーズに応えるため、集成材などの木質材料と前述の「T-POP®」(PCaPC梁)を一体化し、部材としての価値の向上と環境負荷低減を可能とする複合梁「T-WOOD® PC-BEAM」を開発しました。
自然で温かみのある木質空間を創出
「T-POP®」(PCaPC梁)の表層両側面に集成材を配置することで豊かな木質感を実現しており、様々な用途の建築物に対し、自然で温かみのある木質空間を提供できます。また、地元産木材を採用することで、地方自治体等の木材利用ニーズの促進にも応えることが可能です。
構造性能を向上
集成材と「T-POP®」(PCaPC梁)を構造用ビスで一体化しているため、梁全体の曲げ剛性(変形のしにくさ)が10~20%程度向上し、これにより曲げ耐力(壊れにくさ)も50%程度向上します。また、この複合梁を用いて床版を構築した場合、床の振動が10%程度低減され、上階利用者の歩行感や居住性の向上につながります。
環境負荷を低減
工場で「T-POP®」(PCaPC梁)の製作に用いる鋼製型枠の代わりに集成材を利用するため、型枠の取外し作業等が不要となり、型枠材などの廃棄物発生も抑制することができます。また、木質材料はその重さの半分が炭素で構成され、成長過程で大気中の二酸化炭素を吸収して内部に相当量の炭素として貯蔵されるため、複合梁を用いた鉄筋コンクリート造建築物での木材利用を介して、環境負荷低減に寄与できます。
- WORKS:
- 大成札幌ビル
- WORKS:
- 古平町複合施設かなえーる
大成建設担当者
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- 構造設計
- 河本慎一郎
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- 技術開発
- 森山毅子彦
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- 技術開発
- 相馬智明