HOME > STUDENT SQUARE > YOUNG ARCHITECTS & ENGINNERS > 西本 信哉の場合

YOUNG ARCHITECTS & ENGINNERS / STUDENT SQUARE

one structural engineer

SCENE_3 中央合同庁舎第7号館
3. コストと性能の両立

模式図 ダンパーをどの程度投入するのが最も効率がよいかを検討した模式図。 もちろん、高い耐震性能を満足させることは言うまでもありません。
コストと性能をいかに両立させるか?この命題に応えるため、当社ではその総合力を生かし、設計部門のみならず技術センターや技術開発部、施工部門等から様々な知恵を出しあいました。そして構造計画はもちろん、材料や収まり、施工方法等に関して以下のような技術を盛り込む事としたのです。
  1. 上部構造は鉄骨造とし、地震エネルギーを効率的に吸収するとともに経済性にもすぐれた座屈拘束型ブレースを採用する。
  2. 地上部のCFT柱にはFc=90N/mm2の高強度コンクリートを使用し、鋼管の鋼材量を合理的に低減する。
  3. 火災時の詳細な耐火性能検証を行い、鉄骨部材の耐火被覆厚を低減する。
  4. 地下の逆打ち工事で打設する、本来ならば仮設材であるはずの構真柱および杭を本設部材として利用し、基礎の合理的な設計を行う。
  5. 屋根の一部に新材料であるダクタル(超高強度繊維補強モルタル)を用い、構造体と仕上げ材が一体となった屋根板を構成する。

ただし、これらの技術を採用するとしても、当然そこには国の定める「要求水準」という高い目標性能があるわけで、いかにこの要求水準を守りながら技術力を生かしてコストを下げていくかというところが最も難しい点であったと思います。