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YOUNG ARCHITECTS & ENGINNERS / STUDENT SQUARE

one structural engineer

西本 信哉 の場合

SCENE_4 設計者を目指すみなさんへ
1. 構造設計者として

1995年の入社以来、気が付くといつの間にか10年以上経ってしまい、様々なことがありましたが、一つ衝撃だったことがあります。それは昨年来世間を騒がせている耐震偽装事件でしょうか。
神戸の地震をみて入社した私には、首都圏もいずれあのような巨大地震に見舞われ、非常な被害を受けることは確実であり、我々構造設計者はいかにそれを防ぐかということが一つの使命であると感じていました。さらに構造設計者は皆そのような意識をもっていると信じて疑わなかったのですが、自分の利益のために、故意に、建物の耐震強度を偽って設計を進める構造設計者がいることを知ったのは、まさに青天の霹靂でした。
さらに残念でならないのは、建築士は信じられないというような世間の風潮が形成され、建築基準法などのルールが性悪説に基づいて改定されていこうとしていることです。
一級建築士の登録者数だけでも30万人を超えると言いますから、中にはダークサイドに手を染めてしまった人がいるかもしれませんが、人の命を預かる構造設計者だけは、その一線を越えることは許されません。巨大地震という「最後の審判」が下る時に備え、我々構造設計者は常に真摯な態度で構造設計に取り組み、失われた信頼を回復せねばならないと思います。
また構造設計者を目指す皆さんには、構造設計というのは決して設計者の下請け的な業務ではなく、地震国である日本においては極めて重要かつやりがいのある仕事であるということを知って頂きたいと思います。