Space Structure
SCENE_3 プロジェクト
2. さいたまスーパーアリーナ
さいたまスーパーアリーナ
大屋根のリフトアップ
次の実施プロジェクトは”さいたまスーパーアリーナ”でした。コンペで最優秀を受賞後、技術協力の一員として設計に参加し、その後、施工のサポートを行いました。ゼネコンの構造設計では施工計画をサポートすることも重要な役割のひとつです。大空間建築は施工方法次第で応力状態が大きく変わるので、施工手順に基づく解析を行い、その影響を精査する必要があります。これを施工時解析といいます。さいたまスーパーアリーナでは、3500トンの屋根のリフトアップ、3000トンのケーブル張力導入に関する施工時解析を行いました。一般の建築レベルを超えたスケールであるため、解析結果が実際の計測結果と全然違い、失敗したらどうしようか…そんな不安からなかなか寝付けない日々が続きました。施工に関すること(工程、材料発注、仮設、搬入計画、建方手順など)も数多く学ぶ必要があり、かなり辛く大変でした。しかし、作業所の方々をはじめ、建築部や技術センターなど多くの部署のサポートに助けられ、見事に成功、そして完成したときは、本当に涙ものでした。同時に大きな自信を身につけました。この後、小倉競馬場、東京スタジアムなど多くの施工時解析を行いましたが、さいたまスーパーアリーナでの経験が非常に役に立ち、スムーズに施工対応ができるようになりました。
おすすめの本
エドゥアルド・トロハの構造デザイン
エドゥアルド・トロハ 相模書房
コンピューターもなかった時代のエンジニアが、どのようにして構造デザインを進めてきたか、数多くの実例を通じて紹介されています。解析に頼りすぎの私たちには、構造デザインの原点を思い出させてくれる良い本です。