Space Structure
SCENE_2 Space Structure(大空間架構)
札幌ドームの架構形式
宮城県立体育館の架構形式
さいたまスーパーアリーナの架構形式
まず、大空間建築では、構造架構のデザインが建築・空間デザインそのものに大きく影響することです。コンクリートによるシェル構造、鉄骨による平面トラス構造、立体トラス構造、ケーブルによる吊り構造、空気膜構造…。架構のデザインには建築のデザインと同様に無限の自由度があります。建築デザインを最も効果的に表現し、しかも構造的に最も合理的な架構(部材配置)をデザインする必要があります。
合理的な構造架構のデザインとは、架構(部材配置)により建物に作用する力の流れを形態的にコントロールすることであり、部材数が非常に多い大空間建築では軽量化、コストの点などから非常に重要なところです。ケーブルを用いた架構形式では、ケーブルに張力を導入することで、力により架構の変形や力を制御することもできます。図の3つの架構は全て初期張力を導入し、架構の形態を保持しています。
部材同士の接合ディテールの設計も非常に面白いところです。建物全体の力の流し方がデザインできても、それを実現するためのディテールがないと意味がありません。ビル建築とは異なり、立体的な曲面を形成する部材同士は様々な角度から交差するため、ひとつひとつディテールを検討する必要があるのです。
さらに大空間建築では、“いかにして造るか”を設計段階から考慮することが非常に重要になります。施工の方法・順序次第で、建物に作用する力も変わり、またコストも大きく異なってきます。建築本来の“造ること”を十分意識する面白さがあります。
おすすめの本
木による空間構造へのアプローチ
今川憲英、岡田章 建築技術
空間構造の架構形式をシステマティックに分類し、構造的な特徴を解説してあります。様々な架構形式がどういう原理に基づいているか、よくわかります。