大成札幌ビル
- 用途:事務所
- 所在地:札幌市中央区
- 延床面積:6,970m2
- 地下:1階/地上:8階
建築設計主旨
当社の札幌支店新社屋のプロジェクトです。スーパー・エコ・ビルディング(Super Ecological Building)のプロジェクト第1号として位置付けられ、環境に十分配慮した計画と共に、次世代オフィスビルとして当社の最先端技術を盛り込んでおります。
外周に連立するコンクリート打放しの壁は、構造架構をそのまま現し、ファサードデザインの基本構成となっています。スリット状の開口部は必要最小限にとどめることで、外部環境からの熱負荷の低減を図ると共に、呼吸しているかの様に自然風を建物内部へ取り入れ、エコボイド(吹き抜け)へと導く仕組みとなっています。
内側に開放的な吹き抜けを設け、自然エネルギーの最大限有効利用を図り、さらに空間と組織の透明性と執務者間のコミュニケーションの促進を狙いました。
建築・構造・設備と明確なシステムを融合させ、サスティナブル建築を目指し、環境性能評価システムCASBEE Sランク、PAL値-32.7%、ERR値-41%、LCCO2-34.1%の大幅な削減を実現しています。
構造設計主旨
当建物は、高い耐震性能および自由な空間を有した長寿命建物を目的として、TASMO(TAisei Smart suppression system with
MOnitor)を適用しています。地震時のエネルギーを吸収する部位(ダンパー)と常時の鉛直荷重を支持する部位を分離することで、高い耐震性能を確保し、新しい建築架構を実現することが特徴です。その結果、当建物では、構造体と外壁デザインの融合を計った外殻構造デザインとなっています。
また、ダンパーおよび建物全体の健全性を常に監視できるモニタリングシステムを採用しています。
建物内部は、高強度材料とプレストレストコンクリート技術を活用して、柱のない広い建築空間として、かつ見上げの構造躯体を直接表現して、デザイン上繊細かつ軽快に表現しています。
設備設計主旨
環境に配慮した寒冷地オフィスを実現するため、自然エネルギーの有効利用と徹底的な省エネルギーを目標に計画しました。
冷暖房負荷を大幅に削減する外断熱による高断熱建物の特性を最大限に利用し、スケルトン内装にマッチした「北国空調」を採用しました。これは躯体蓄熱放射冷暖房システムに加え、冷熱を冷涼外気から直接製造するフリークーリング、自然換気や外気冷房などによる自然エネルギーを最大限に利用した北海道ならではの省エネルギー型空調システムです。
また、エコボイドには太陽光自動追尾型ミラーと指向性、拡散性ミラーを組み合わせた太陽光採光システム「T-Soleil(ティーソレイユ)」を導入し、一年を通して目に優しい光をボイド底部まで届けています。
このほか、非接触カードを用いたセキュリティシステムや、BEMS、ウェブサーバによる遠隔監視など、環境に配慮した次世代ビルを実現する高度な技術を導入しました。
担当
大成建設担当者 | |
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建築設計 | 橋本緑郎、高橋章夫 |
構造設計 | 小室努、藤野宏道、河本慎一郎 |
設備設計 | 森山泰行、高木健、梶山隆史 |
電気設計 | 出野昭彦、高木淳、山口亮 |
インテリア | 香田顕作、中根健、粟野寛史 |
社外受賞
2007年 | 北海道建築賞奨励賞 |
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2007年 | グッドデザイン賞 |
2007年 | プレストレストコンクリート技術協会賞 作品賞 |
2007年 | 日本コンクリート工学協会賞 作品賞 |
2008年 | 第49回 BCS賞 |
2008年 | 第7回 エコビルド賞大賞 |
2008年 | 第33回 日事連建築賞会長賞 |
2008年 | 第21回 日経ニューオフィス賞環境賞 |
2008年 | 日本建築学会作品選集2008 |
2008年 | 北海道赤レンガ建築賞奨励賞 |
2009年 | 第47回 空気調和・衛生工学会賞技術賞建築設備部門 |
2009年 | 第20回 電気設備学会賞技術部門施設奨励賞 |
2009年 | 日本建築士会連合会賞奨励賞 |
2020年 | 第17回 ヒートポンプ・蓄熱システム運転管理等の改善事例 奨励賞 |