当社共同設計・当社施工作品の「大宮区役所・大宮図書館」が、2022年度グッドデザイン賞を受賞しました。
公益財団法人日本産業デザイン振興会が主催する当賞は、総合的なデザインの推奨制度です。
デザインによって私たちの暮らしや社会をよりよくしていくための活動であり、1957年の開始以来、シンボルマークの「Gマーク」とともに広く親しまれてきました。
当賞は、製品、建築、ソフトウェア、システム、サービスなど、私たちを取りまくさまざまなものごとに贈られます。かたちのある無しにかかわらず、人が何らかの理想や目的を果たすために築いたものごとをデザインととらえ、その質を評価・顕彰しています。
GOOD DESIGN AWARD (g-mark.org):https://www.g-mark.org/
大宮区役所・大宮図書館
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概要
既存庁舎の耐震不足に伴い、図書館との併設で建て替えた新庁舎です。
製糸業で近代化を支えた大宮の歴史に着想し、「まちを紡ぐ、人を紡ぐ、時を紡ぐ」をコンセプトに掲げ、人々を自然と上層へと誘い、多様な出会いや発見を創出する、市民に開かれた「新しい公共の姿」を提案しました。
デザインのポイント
- 氷川参道や山丸公園等の恵まれた周辺環境を活かし大宮とさいたま新都心という二つの“まち” を紡ぐ
- 吹抜で連続する“スパイラル空間”、建物と⼀体で利用できるテラスなど様々な仕掛けが、人々を紡ぐ
- 氷川参道の軸線上に、大宮の製糸業の歴史を象徴する絹糸をイメージした庁舎を整備し、歴史を未来に紡ぐ
背景
計画敷地は大宮駅周辺地域戦略ビジョンにおいて、「地域連携拠点」として位置づけられており、区役所と図書館の複合施設として一体的に計画することで市民の利便性を高め、賑わいを創出することを目指す必要がありました。
また大宮駅・さいたま新都心駅との中間点であること、氷川参道に隣接することから、地域の連携と街に回遊性をもたらすことをも求められました。
一方、計画敷地周辺は高層住宅が立ち並ぶエリアであり、庁舎内部からの視線を制御することも必須条件となっており、賑わいを創出することとどう両立させるかも、課題となっていました。
計画敷地がかつて製糸業で栄えた地域であったことから、「紡ぐ」をキーワードに、区役所機能と図書館機能の配置から、建築全体の構造システム、視線制御を含めた外装システムに着想し、課題解決とともに大宮の歴史を未来に伝える建築を目指しました。
経緯とその成果
大宮が製糸業で栄え、さらに計画地が過去に製糸工場であった歴史を参照し、糸を巻き取る「織枠」と呼ばれる道具をモチーフに、内部にゆとりを持たせたセンターコア構造を中心に、「ステップリビング」「ガイダンスステップ」といった市民の居場所を含む各機能・空間が織り込まれるような計画としました。
市民窓口と図書館はスパイラル状の吹き抜け空間で緩やかにつながり、相互利用の促進を図りました。
外装の「絹糸スクリーン」は住宅に正対する部分を密に、市民の居場所部分を疎に配置することで、参道の緑が感じられるとともに、視線制御と賑わい表出を両立させています。
センターコア構造の採用により16.5mのロングスパンを実現して図書・執務空間の利便性をアップさせているほか、PFI事業であることを活かし、各機能の開館時間を統一することでさらなる相互利用を促進し、まち全体への賑わい創出を図りました。
建物概要
- 建築主
- 大宮クロスポイント株式会社
- 所在地
- 埼玉県さいたま市大宮区吉敷町1-124-1
- 用途
- 庁舎、図書館、物販店舗、飲食店舗、
自動車車庫、自転車駐車場 - 構造
- 鉄骨造(一部コンクリート充填鋼管造、
地下1階柱頭免震) - 階数
- 地下1階、地上6階、塔屋1階
- 敷地面積
- 7,548.53m2
- 建築面積
- 4,157.18m2
- 延床面積
- 23,541.76m2
- 工期
- 2017年7月~2019年3月
- 設計
- 久米設計・シーラカンスK&H・
大成建設設計共同企業体 - 施工
- 大成建設株式会社関東支店
- WORKS:
- 大宮区役所・大宮図書館
- NEWS:
- 2022.04「大宮区役所・大宮図書館」が2022年日本建築学会作品選奨を受賞
- NEWS:
- 2021.09 「大宮区役所・大宮図書館」がBCS賞を受賞
- NEWS:
- 2020.12 2020年度日本建築家協会優秀建築選(100選)に4作品が選出
大成建設担当者
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- 建築設計
- 伊勢季彦
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- 建築設計
- 村瀬宏典
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- 建築設計
- 國分大輔
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- 建築設計
- 浅野晃宏