2021.11 「日環アリーナ栃木」がグッドデザイン賞を受賞
当社共同設計・当社施工作品の「日環アリーナ栃木」が、2021年度グッドデザイン賞を受賞しました。
公益財団法人日本産業デザイン振興会が主催する当賞は、総合的なデザインの推奨制度です。
デザインによって私たちの暮らしや社会をよりよくしていくための活動であり、1957年の開始以来、シンボルマークの「Gマーク」とともに広く親しまれてきました。
当賞は、製品、建築、ソフトウェア、システム、サービスなど、私たちを取りまくさまざまなものごとに贈られます。かたちのある無しにかかわらず、人が何らかの理想や目的を果たすために築いたものごとをデザインととらえ、その質を評価・顕彰しています。
さらに、複雑化する社会において、課題の解決や新たなテーマの発見にデザインが必要とされ、デザインへの期待が高まっています。
グッドデザイン賞は、審査と多様なプロモーションを通じて、デザインに可能性を見出す人びとを支援し、デザインにできること・デザインが生かされる領域を広げ、私たちひとりひとりが豊かに、創造的に生きられる社会をめざしています。
グッドデザイン賞:
http://www.g-mark.org/
日環アリーナ栃木
全体鳥瞰:まちと公演をつなぐ「交流の丘」を中心に、メインアリーナ・サブアリーナ・屋内水泳場の3棟が連携しやすい配置とした
メインアリーナ内観:Bリーグ試合時の様子。イベント利用のしやすい黒基調の空間としている
サブアリーナ外観:迫力のある石塊と、それを削ったときに表出する美しい大谷石を表現した外壁
【概要】
2022年栃木国体の会場となる施設を整備するPFI事業。
大規模大会やプロスポーツにも使用可能なメインアリーナ・サブアリーナ・屋内水泳場・フィットネス機能を有する大規模複合スポーツ施設です。
公園全体のつながりに配慮した緑豊かな丘や大谷石採掘場をモチーフとした外観など、地域の魅力を育み、栃木ならではのデザインを表現しました。
【デザインのポイント】
- まちと公園をつなぐ「交流の丘」
- 大谷石採掘場を想起させる「石塊」の表現
- 多様な活動を発信する「スポーツギャラリー」
【背景】
栃木県では、「県民に愛され、県民が誇れる、県民総スポーツの推進拠点」として、2022年に開催予定のいちご一会とちぎ国体・とちぎ大会にも使用される総合スポーツゾーンの整備を進めてきました。
公園全体のゾーニングは、新スタジアムがある北エリア、野球場・武道館がある中央エリア、アリーナ・屋内水泳場がある東エリアの3ゾーンから構成されます。
今回の敷地である東エリアは、公園の一部ではありますが住宅地に囲まれた特異な場所であり、公園中央エリアと地下通路で接続することが求められました。
地下レベルまで地盤を掘り下げ、2階マロニエテラスまでを緩やかにつなぐ「交流の丘」をつくり、公園・まちとのつながりある一体性を確保することとしました。
加えて、外観は栃木を象徴する大谷石採掘場をイメージした石塊の表現とし、彫り込んだ部分には実際に大谷石を使用して栃木らしさを発信することで、まちのシンボルとして親しみやすい建築となることを目指しました。
【経緯とその成果】
交流の丘は複雑な形状の建築と起伏ある外構が一体となっているため、レベル関係を高精度で管理することを求められました。
敷地境界部にフェンスの無いオープンな計画とすることで、まちのみんなの丘として気軽に立ち寄りやすい居場所の創出を実現しました。
石塊の表現については、栃木を象徴する大谷石採掘場のイメージを具現化するため、石塊としてのテクスチャーやエッジ部の処理など、入念にディテールを検証しました。
彫りこんだ凹部には大谷石を使用しているが、中高層の外壁使用は全国的にも例がないため、耐久性確保と脱落防止のための表面保護・裏面処理・工法について、実験や実寸大モックアップによる検証を重ねた上で決定しました。
石の割れ目のよう低層部は、ガラス張りによる「見る・見られる」関係性を随所につくることで、スポーツを通して多様な活動を発信するスポーツギャラリーとして、新たな交流を生む風景を創出しました。
建築主 | 株式会社グリーナとちぎ |
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所在地 | 栃木県宇都宮市西川田4-1-1 |
用途 | 総合運動公園(観覧場) |
構造 | 鉄筋コンクリート造(一部鉄骨造) |
規模 | 地上4階 |
敷地面積 | 66,151.85m2 |
建築面積 | 24,898.57m2 |
延床面積 | 38,524.27m2 |
工期 | 2018年6月~2021年1月 |
設計 | 梓設計・大成建設・安藤設計設計共同企業体 |
施工 | 大成・中村・渡辺特定建設工事共同企業体 |
建築設計担当者
川野久雄
伊藤真樹
飯田雄介
涌井匠
松岡弘樹