2021.11 「広島アンデルセン」がグッドデザイン賞を受賞
当社設計・施工作品の「広島アンデルセン」が、2021年度グッドデザイン賞を受賞しました。
公益財団法人日本産業デザイン振興会が主催する当賞は、総合的なデザインの推奨制度です。
デザインによって私たちの暮らしや社会をよりよくしていくための活動であり、1957年の開始以来、シンボルマークの「Gマーク」とともに広く親しまれてきました。
当賞は、製品、建築、ソフトウェア、システム、サービスなど、私たちを取りまくさまざまなものごとに贈られます。かたちのある無しにかかわらず、人が何らかの理想や目的を果たすために築いたものごとをデザインととらえ、その質を評価・顕彰しています。
さらに、複雑化する社会において、課題の解決や新たなテーマの発見にデザインが必要とされ、デザインへの期待が高まっています。
グッドデザイン賞は、審査と多様なプロモーションを通じて、デザインに可能性を見出す人びとを支援し、デザインにできること・デザインが生かされる領域を広げ、私たちひとりひとりが豊かに、創造的に生きられる社会をめざしています。
グッドデザイン賞:
http://www.g-mark.org/
広島アンデルセン
アーケードより創建当時の姿を復元した北面を見る。ガラス超しにHYGGE Parkに至るストリートが見える
建築と什器が一体化した店内。1階「Bakery Market」は緑豊かな「HYGGE Park」へとつながる
店舗南側に新設された都市の余白「HYGGE Park」。県北部にある社内研修施設「アンデルセン芸北100年農場」より樹木を移植
【概要】
パンを通じて「食卓に幸せを運ぶ」、広島アンデルセン。
創業の地、広島に構える旗艦店の建替です。
過去と現在と未来を繋ぐ「時間の交差」、都市と自然に売場が連続する「空間の交差」、建築を囲む全ての人を繋ぐ「人の交差」。
過去の空間を継承した「十字柱」に象徴されるCROSSINGで形づくられた建築です。
【デザインのポイント】
- 被爆建物と旧店舗の要素を保存しながら、モダンデザインと、将来の更新性を融合した「時間の交差」
- 広島のアーケードによる都市の賑わいと、都市の吹抜けと定義したパークの自然を、売場が結ぶ「空間の交差」
- 門型の構造体が、そのまま部屋や什器を構築するインテリアとなった空間で生まれる「人の交差」
【背景】
欧州の「旧いものを新しく活かす」考えに倣い、銀行として使われていた建物(大正14年(1925年)竣工)を活用して昭和42年(1967年)にベーカリー「広島アンデルセン」が誕生しました。
旧建物は、被爆、復旧、2度のベーカリーへの増改築を経て使われ続けてきた被爆建物です。
耐震性能不足により改修が必要な状態でしたが、コンクリートの劣化も酷く、建替に踏み切ることとなりました。
解体にあたっては、被爆した外壁の一部を保存し、新建物の東面外壁に再設置しました。
窓枠とその装飾を含めた形状、積み方をそのまま保存するため躯体ごと切り出し、人造石部分65mmを残してスライス、PCa板化する工法で保存活用しました。
さらに増改築された際の外壁や、旧店舗で利用していた内装材や家具、照明なども含め、過去を継承することとしました。
一方で打放コンクリートとオークを主にした内外装、サイン、包装紙や制服は現代的に更新。
その「交差」により広島アンデルセンを再構築しました。
【経緯とその成果】
新しい「広島アンデルセン」は、RCの構造フレームが、基本となるパン製造や厨房といった設備を成立させながら、都市との関係を創り、そのまま空間、部屋、インテリアのデザインとしています。
外周は偏平梁と偏平柱として、設備の更新性を確保し、アーケードとHYGGEパークに対して大きな開口を持つ設えとしました。
合理的なフレームによる機能の集約により、敷地の1/4程度をパークとして生み出し、そこに面した偏平梁はバルコニー兼庇として機能し、積極的な外部利用を可能としました。
また、パークを都市の吹抜けに見立て2本の階段を設置。
ベーカリー・レストラン・宴会場という複数の用途を立体的に接続しています。
偏平梁と偏平柱の組合せは、1つはゲートとして、ゾーニングや買回りの動線を作り、それと融合した家具へと展開されていきます。
もう1つは、それらが交差することで出来る4本の十字柱。
旧店舗が持っていた、銀行建築の持つ格式と求心性を継承しています。
建築主 | 株式会社アンデルセン・パン生活文化研究所 |
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所在地 | 広島県広島市中区本通7-1 |
用途 | 物販店舗、飲食店、工場、集会場 |
構造 | 鉄筋コンクリート造 |
規模 | 地上5階 |
敷地面積 | 1,528.73m2 |
建築面積 | 919.04m2 |
延床面積 | 3,424.78m2 |
工期 | 2019年2月~2020年7月 |
設計 | 大成建設株式会社一級建築士事務所 |
施工 | 大成建設株式会社中国支店 |
詳細 | WORKS: https://www.taisei-design.jp/de/ works/2020/hiroshimaandersen.html |
設計担当者
建築設計
中藤泰昭
インテリアデザイン
徳野博子
建築設計
傳法一成