【概要】
これまで効率性・経済性が優先されてきた建設現場に、働く人達にとって居心地の良い環境を提供する事で働き甲斐と生産性の向上を実現した「ウエルネス作業所」の取り組み。
全国の建設現場に展開しやすいよう様々なデザイン手法を纏めた「100のウエルネスレシピ」を作成し、規模や工期が異なる現場毎にカスタマイズが可能な仕組みを創出しました。

【デザインのポイント】

1. 環境改善が遅れていた建設現場に対しワークプレイスデザインを駆使し生産性の向上と魅力的な職場環境を創出
2. 全国数多くの建設現場に展開し易い様にデザインのノウハウを詰め込んだ「100のウエルネスレシピ」を用意
3. ローコストなプレハブ建築の性能を高め快適性の向上と同時に環境配慮型の建設現場を実現

【背景】
近年オフィスワークを中心に働く環境の改善とワークエンゲージメントの向上、生産性の向上を図る取組が増えています。
その一方で、建設現場は3Kといわれるように効率性・経済性が優先される場所とされ、そこで働く社員・職人を取り巻く環境の質はあまり考慮されてきませんでした。
また近年は職人の高齢化が進み、職人離れと後継者不足が深刻となり、建設現場での生産性の向上と、魅力的な環境の創出が喫緊の課題となっています。
このような状況で、全国に現場を抱える建設会社としての立場から、先駆的な取り組みとして建築設計者が主導しワークプレイスデザインの手法を活用した新しい建設現場の創出と、それを全国に展開する活動を進めています。
また、従来はローコスト仕様のプレハブとなっていた現場事務所の断熱性能を高め快適性を向上させると同時に、様々な環境配慮技術を盛り込む事で日本で初のZEB Ready認証を取得しました。

【経緯とその成果】
全国に多数ある建設現場を個別にデザインする事は限界があります。そこで現場毎に自由にカスタマイズしながら豊かな環境を創出できるデザインのノウハウを詰め込んだ「100のウエルネスレシピ」を用意しました。
レシピは建物の配置に関する「ヴォリューム」、平面計画に関する「プランニング」、家具などの「エレメント」の3パートで構成。
このレシピを自由に選択し組合せる事で実現する新しい建設現場を「ウエルネス作業所」と名付け、3か所のモデルプロジェクトを実現しました。
「赤坂中学校等整備工事」では、3分棟されたヴォリュームの間に足場板で作られたデッキスペースを設け屋外環境に豊かなコミュニケーションを創出、「千葉市新市庁舎整備工事」では外部の人を受け入れるスペースを生み出し地域に開かれた事務所を実現、「下高井戸調整池工事」では様々な居場所を自由に選択できるようにし、土木工事の長期現場でも快適に過ごせる現場を作りだしました。

建築設計担当者

左から、出口亮、麻田北斗、飯田雄介、鬼頭朋宏、滝村菜香、河村悠希、平林永里加