当社共同設計・当社共同施工作品の「The Juban」が2023年度グッドデザイン賞を受賞しました。
公益財団法人日本産業デザイン振興会が主催する当賞は、総合的なデザインの推奨制度です。
デザインによって私たちの暮らしや社会をよりよくしていくための活動であり、1957年の開始以来、シンボルマークの「Gマーク」とともに広く親しまれてきました。
当賞は、製品、建築、ソフトウェア、システム、サービスなど、私たちを取りまくさまざまなものごとに贈られます。かたちのある無しにかかわらず、人が何らかの理想や目的を果たすために築いたものごとをデザインととらえ、その質を評価・顕彰しています。
GOOD DESIGN AWARD (g-mark.org):https://www.g-mark.org/
The Juban
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概要
麻布十番に建つ中規模賃貸マンションです。共用部側への構造体・設備機器の「集約化」により、居室内の開放性・将来に渡る更新性・設備機器を一切排除した「リビングバルコニー」を実現しました。また、素材感を活かした「墨色」の濃淡による端正な構成で、僅かな陰翳と静謐な奥行感をつくり、滲み出す生活が相まって「上質な下町感」のある風景を演出しています。
デザインのポイント
RCコア壁へ構造の集約化で、梁の無いフラットスラブを実現、将来に渡る更新性・居室の開放性の高さを確保
設備の集約化で、住宅バルコニーから一切の設備を排除し生活空間の一部となる「リビングバルコニー」を実現
外観を支配する住宅バルコニーから設備を排除することで、ミニマルな素材構成による端正な外観を実現
背景
中規模共同住宅の外装を覆うバルコニーは、外観の印象を決定づける要素です。通常バルコニーにはエアコンの室外機・冷媒ダクト・給湯器・雨樋・梁の側面にはベントキャップなどが露出しているのが一般的です。こうした外観的、有効スペース的にネガティブな要素となる設備要素を住戸バルコニーから排除し、設備専用バルコニーに集約することで更新性を高めることを目指しました。また、設備要素が排除されることにより、室内のリビングと一体的に、生活空間の一部として積極的に利用したくなるようなバルコニーの実現と、バルコニーの構成要素が絞り込まれることによる外観の向上で、街の景観に寄与することを目指しました。
経緯とその成果
通常各住戸のバルコニーに置かれる室外機や給湯器、給排気のベントキャップなど各階の設備バルコニーに集約しました。更には各階の芯を貫くコア壁へ構造を集約することで、外周フレームを縮減しました。リビング内を梁無しフラットスラブで構成し、打放し天井により、構造体の気積を空間に還元しました。構造・設備の集約化とスケルトンインフィルを掛け合わせることによるフレキシビリティーで、将来に渡る更新性を担保しました。また、設備構造の「集約化」により、開放的で室内リビングと一体化する「リビングバルコニー」の実現に至りました。水墨画に、濃淡の異なる墨を乾く前に素早く塗り重ねて、遠近感や立体感を出す「破墨」という技法がありますが、墨の濃淡と透け具合、ミニマルで静謐な表現の奥に力強さを感じさせます。コンクリート・木・ガラスといったシンプルな素材感を活かした墨色の濃淡による抑えた表現で「破墨」の様な静謐な奥行感を醸し出す外観を実現しました。
建物概要
- 建築主
- 圓山商事株式会社
- 所在地
- 東京都港区麻布十番2-12-7
- 用途
- 賃貸マンション、店舗
- 構造
- 鉄筋コンクリート造
- 階数
- 地上12階
- 敷地面積
- 524.63m2
- 建築面積
- 324.61m2
- 延床面積
- 3,182.64m2
- 工期
- 2019年8月 ~ 2021年6月
- 設計
- 大成建設株式会社一級建築士事務所
- 施工
- 大成建設株式会社東京支店
- WORKS:
- The Juban