NEWS 2022.12

「神戸ポートミュージアム」がグッドデザイン賞を受賞

  • RC洗い出しによる地層のような外装

    RC洗い出しによる地層のような外装

  • 神戸港を望める頂上のテラス

    神戸港を望める頂上のテラス

  • 壁面を洗い出した岩窟のような階段

    壁面を洗い出した岩窟のような階段

  • 海と山に囲まれた神戸ポートミュージアム

    海と山に囲まれた神戸ポートミュージアム

当社設計・施工作品の「神戸ポートミュージアム」が、2022年度グッドデザイン賞を受賞しました。
公益財団法人日本産業デザイン振興会が主催する当賞は、総合的なデザインの推奨制度です。
デザインによって私たちの暮らしや社会をよりよくしていくための活動であり、1957年の開始以来、シンボルマークの「Gマーク」とともに広く親しまれてきました。
当賞は、製品、建築、ソフトウェア、システム、サービスなど、私たちを取りまくさまざまなものごとに贈られます。かたちのある無しにかかわらず、人が何らかの理想や目的を果たすために築いたものごとをデザインととらえ、その質を評価・顕彰しています。

GOOD DESIGN AWARD (g-mark.org):https://www.g-mark.org/

神戸ポートミュージアム

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図01

概要

アクアリウムを核とした複合文化施設です。
六甲山の隆起と水による浸食で生まれた神戸の地形をイメージし、大地を登りながら水族や神戸の景色を楽しむ建築としました。
六甲山と瀬戸内海の骨材を使ったRC外壁を水で洗い出し、土地の色を纏った地層のような外装を実現しました。
屋上の樹々の成長と共に植物にも侵食されていく、大地の延長のような建築です。

デザインのポイント

  • 神戸の地層が隆起した大地と水の建築/神戸の地形の成り立ちの調査・分析と建築材料・工法への応用
  • コンクリートの地産地消/超高圧洗浄によるRC洗い出しにより土地固有の色を外装に纏う新しい技術
  • 周辺環境に呼応した形態/風・景観シミュレーションによる形態の決定

背景

本施設は神戸港に面した突堤の根元に位置し、高架道路により分断された港と街を繋ぐ集客施設として強いランドマーク性をもつと共に、ポートタワー等既存の豊かな景観資源に配慮した計画が求められました。
神戸の地形の歴史を振り返ると、約100万年前から始まる地殻変動により六甲山地が隆起を繰り返す一方で、波や風雨により山肌が削られ、土砂が運ばれることで街の土台が形成されてきたことがわかります。
その長年にわたる”隆起”と”浸食”というせめぎ合いから生まれた地形の成り立ちに倣い、建築を構成する材料や工法を改めて見直すことで神戸の地に根ざした建築を考えました。
またその環境からうまれる六甲おろしや海風を受け流す楕円形平面とし、掘り込みを設けることで風の流れ・人の流れ・視線の抜けをうむ周辺環境や地形に呼応した計画としました。
本計画は大地と建築の関係を再考することで土着的なものづくりの可能性の拓く試みです。

経緯とその成果

地形・地質の調査や産地の選定までを計画の範囲に含めることで建築を構成する原材料および工法の見直しを行いました。
まずコンクリートの原材料である骨材選定にあたり、六甲山の有野(茶系)と瀬戸内海の西島(グレー系)からとれる地場産骨材を採用しました。
さらに神戸の地層は地殻変動と海面の上下作用により、海の底でできた海浜性の堆積物(粘土層)と山が削られ運ばれた扇状地堆積物(砂礫層)が交互に重なる特徴的な構成をもつため、その地層を地上へと延長するように、1、3階に海の骨材、2、4階に山の骨材を使い分ける打設計画としています。
また現場打ちのコンクリート打設後に超高圧洗浄で洗い出すことで表面の骨材を露出させ、その土地固有の色を纏った地層のような外装として実現しました。
屋上には瀬戸内海沿岸部でみられるワイルドな樹々を植え、経年変化とともに少しずつ自然に還っていく、永く生き続ける建築です。

建物概要

  • 建築主
    合同会社AQUART神戸
    所在地
    兵庫県神戸市中央区新港町7番2号
    用途
    水族館(博物館)、飲食、物販
    構造
    鉄筋コンクリート造、鉄骨造、木造
    階数
    地下1階、地上4階、塔屋1階
    敷地面積
    5,328.14m2
    建築面積
    2,665.11m2
    延床面積
    7,283.47m2
  • 工期
    2017年7月~2021年7月
    設計
    大成建設株式会社一級建築士事務所
    施工
    大成建設株式会社関西支店
WORKS:
神戸ポートミュージアム

大成建設担当者

  • 髙島謙一
    建築設計
    髙島謙一
  • 土井健史
    建築設計
    土井健史
  • 原田健介
    建築設計
    原田健介

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