当社設計・当社施工作品の「古平町複合施設かなえーる」が2023年度グッドデザイン賞を受賞しました。
公益財団法人日本産業デザイン振興会が主催する当賞は、総合的なデザインの推奨制度です。
デザインによって私たちの暮らしや社会をよりよくしていくための活動であり、1957年の開始以来、シンボルマークの「Gマーク」とともに広く親しまれてきました。
当賞は、製品、建築、ソフトウェア、システム、サービスなど、私たちを取りまくさまざまなものごとに贈られます。かたちのある無しにかかわらず、人が何らかの理想や目的を果たすために築いたものごとをデザインととらえ、その質を評価・顕彰しています。
GOOD DESIGN AWARD (g-mark.org):https://www.g-mark.org/
古平町複合施設かなえーる
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現しの構造体を蓄熱体として利用し、古平の自然環境を取り込んで居場所をつくる
寒冷地の窓際にあたたかい居場所をつくる壁柱輻射冷暖房
概要
北海道古平町における、庁舎・集会所・図書館等の複合施設です。環境にやさしいまちづくりに取り組む古平町において、積雪寒冷地の中でも快適性と省エネを両立し、長寿命な、町民に長く愛される建物を目指しました。建築・構造・設備が一体となった計画により、運用後1年の実績として79% の省エネ(Nearly ZEB)を達成しています。
デザインのポイント
1.RC現しの空間による躯体蓄熱と輻射冷暖房で、窓際に居場所をつくり大幅な省エネを実現
2.平面計画に柔軟に対応する木立状の壁柱ファサードにより、自然に呼応した開放的な公共施設の外観を形成
3.北海道産カラマツを主要構造体に使用することで省CO2を図り、ぬくもりのある木質内部空間を形成
背景
古平町は、これからの持続可能なまちづくりに向けて、北海道内初のゼロカーボンシティ宣言を行い、町内における環境負荷の低減に取組んでいます。 そのためこの建築は、エネルギー負荷の高い積雪寒冷地において、快適性と大幅な省エネを両立する寒冷地ZEB建築の先導モデルとなることを目指しました。一方、古平町の人口は3,000人程度であり、漁獲量の減少と共に人口減少が進んでいました。そこで建物内に賑わいと交流が生まれるように、庁舎と交流施設を正方形にまとめ、中央を共有の3層分吹抜ロビーとしています。建物のコンパクト化によりイニシャルコストの低減と共に、外壁面積を抑え省エネとランニングコストの低減を図っています。旧庁舎は95年間町の歴史と共に歩んだ建物でした。新庁舎である本建物は次の100年を町民と共に歩み、町が推進する持続可能な地方都市のまちづくりにおいて、その中核を担う施設となることを目指しています。
経緯とその成果
100年愛されるZEB建築を実現するため、寒冷地気候に適合する建築・構造・設備が一体となった計画とし、居心地のよい空間づくりと大幅な省エネの両立を目指しました。 周辺環境に呼応する木立状の外観は、壁柱をそのまま表現し長寿命な構造体として機能させています。その壁柱には輻射冷暖房配管を埋設しており、内部側の特に寒冷地では寒くなりがちな窓際において、古平の豊かな自然を眺められる温かい居場所を作りました。木とRCの複合梁には北海道産カラマツを使用し、省CO2を図りながら、ぬくもりある内部空間としました。梁の集成材はRC打設時に型枠として機能し一体化させることで、通常廃棄される型枠を大幅に削減しています。 共用開始から1年が経過し、運用段階で79%の省エネを達成しています。また、眺望の良いぬくもりのある図書館の利用数は従前の3倍となり、町民のための居心地の良い空間が公共施設の利用者の増加につながっています。
建物概要
- 建築主
- 古平町
- 所在地
- 北海道古平郡古平町大字浜町50番地
- 用途
- 庁舎、集会所、図書館
- 構造
- 鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造
- 階数
- 地上3階
- 敷地面積
- 8,861.57m2
- 建築面積
- 1,323.59m2
- 延床面積
- 3,887.03m2
- 工期
- 2020年4月 ~ 2022年2月
- 設計
- 大成建設株式会社一級建築士事務所
- 施工
- 大成建設株式会社札幌支店