愛着あるモノ
SCENE_5 鹿沼 3650m2のプレート
着工してからは会長が直接現場におとずれ、所長に伝言していく。
「あのサクラの木は切りたくないな。加工室の横幅がもう2m小さくならんか。」
「パースではもうすこし明るい部屋のイメージだったな。ここに窓をつけよう。」
そのたびに現場から電話があり、「いまからすぐに来てくれ!」
資料をカバンに投げ込み、新幹線に飛び乗る。3時間後、日が暮れた真っ暗の現場に到着し緊急会議が開始する。
6ヶ月の短工期があっという間に過ぎ、緑の山並みとコントラストをなす白い大屋根と10本のマストが姿を現した。
竣工式で解散するとき「よくできた」とぼそっと会長が言い残していった。
現在、同社のフランクフルトオフィス計画が進行しているが、いまだに若社長とはあのときに苦労話で盛り上がる。
建築は泥臭いから面白い。人と人を素直に結び付けてくれるイベントだ。
2006年、この増築棟は栃木県のマロニエ景観賞本賞を受賞し、今も従業員の方に誇りをもって使っていただいている。
- 古市 理 OSAMU FURUICHI
- 見ての通りクールビズ実行中の古市。涼しい格好とは真反対の自他ともに認める熱〜〜い男である。彼と一度関わりあえば、その強烈な個性と独特の空気感に魅せられすっかり「古市ワールド」の虜になること間違いなし。最近の野望は「人を巻き込んでムーブメントを起こしたい」とのこと。さすが、熱い男は言うことが違う!「でも僕、有言不実行なんです」・・・えっ?!