愛着あるモノ
SCENE_2 千葉 215m2のプレート
この集合住宅の近くに当社の支店があり、1年に2.3度は訪れるが、行く度にケヤキが大きくなっており、コンクリート面が隠されていっている。
安藤忠雄氏が「木は成長すると建物の荒を馴染ませてくれる。外構は手を抜かないほうがよい」と言っていたのを思い出す。
いつも管理人さんにお願いしてエントランスロビーに入れてもらうのだが、 住人のおじいちゃんがモミジの庭を見ながら佇んでいるときなど あきらめずに提案してよかったと顔がほころんでくる。
当のコンクリート壁はというと落書きひとつされず、時を刻み、しっとりと排ガスをまとった姿は美しくさえ感じる。
壁の上部に凹みをつくって雨垂れ処理のディテールにかなり苦心したことを懐かしく思う。 建築は自分の苦労したことには後になって必ず答えてくれるものだ。