Advanced structural design
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- 既存鉄塔の制振化
- 1. 耐震用TMDシステムの開発
- 2.耐震用TMDの実施
SCENE_2 既存鉄塔の制振化
2. 耐震用TMDの実施
TMDは制振システムの基本であり、通常は風揺れ低減に用いるのが一般的で、今回のように地震力を低減する目的で採用するケースは恐らく初めての事ではないかと思います※。今回、鉄塔にTMDシステムを採用した最も大きな理由は、その優れた耐震安全性にあります。部材を補強する案の場合、補強しない部材の強度は高めることができません。一方、TMDの場合、鉄塔全体の地震力を低減できるため全ての部材の強度を高めるに等しい効果を得られることになります。
本プロジェクトでは、既存の部材にシステムをうまく納めることは当然のことながら、通信タワーとしての機能を妨げることなくどのように工事を行うか、設置後のメンテナンスをどのように行うか、など多くの課題に挑戦し解決することで実現に至ることができました。
通信鉄塔へのTMD設置状況
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- 耐震用TMDの適用について
通常、風揺れ対策に用いるTMDのおもり重量は建物重量の1%以下で済みますが、地震に対して効果を発揮するためには5%〜10%以上の重量が必要となり、一般のビル建築ではおもりが大きくなりすぎて実現するのが困難です。
一方、鉄塔の場合、鉄塔自身の重量が比較的軽量ですので、おもりがそれほど大きくならず、耐震用としてTMDを適用することが可能となりました。