2020.06 「JS博多渡辺ビル」が電気設備学会賞を受賞
当社設計・施工作品の「JS博多渡辺ビル」が、第31回電気設備学会賞 技術振興部門 振興賞を受賞しました。
一般社団法人電気設備学会が主催する当賞は、電気設備に関する学術と技術の進歩を図ることを目的として、特に顕著な功績、優秀な学術・施工・技術開発等の業績に対して表彰するものです。
技術振興部門は、中小規模の施設を対象とした振興賞となっています。
一般社団法人電気設備学会:
https://www.ieiej.or.jp/
JS博多渡辺ビル
採光と遮光を同時に行う採光ブラインド
計画の背景
「JS博多渡辺ビル」は、福岡の玄関口である博多駅から徒歩約10分の位置にあります。
テナントオフィスビルとして国内初のZEB Ready認証取得を計画の大きな目標として掲げました。
また、BCP対策、ウェルネスオフィス等の建物価値向上も計画時より考慮し、今後のテナントオフィスビルにおけるZEB普及のさきがけとなる建物を目指しました。
電気設備の特徴
本建物の計画当時、ZEB認証のオフィスビルは全て自社ビルで実現されており、テナントオフィスビルでの実績はありませんでした。これは、テナントオフィスビルの場合、高付加価値ですが高額な特殊設備はオーナーにとって導入費用が負担となり、採用するメリットがあまりないと考えられてきたという理由があります。
しかし国内のオフィスビルの内、テナントオフィスビルは全体の約70%を占めており、汎用機器によりテナントオフィスビルでZEB Readyを達成したことは今後のZEB普及・拡大のモデルとして先進的な事例となりました。
また、中小テナントビルの価値向上のため、災害時の事業継続計画(BCP)、オフィスワーカーの働きやすいウェルネスオフィスも同様に計画を行いました。
本建物の電気設備の主眼点は以下の3項目です。
- 汎用的な設備を主体としたZEB Readyの達成
次世代人検知センサーの導入により、人の在・不在を検知し、照明器具を1灯ずつ点消灯や調光することがが可能です。
また、明るさセンサーにより調光制御を行うことで、更なる省エネルギー効果を実現しています。
また、在・不在情報を空調・換気にも利用し、不在時の空調温度設定緩和、低負荷時の冷媒蒸発温度緩和制御を行っています。
さらに、エネルギー監視システムとしてBEMS(自社開発技術)の導入と計量の計画を行いました。 - BCP計画及びBCPの見える化(BCPサポートシステム)
BCP計画としては、大規模災害等の非常時には建物内に災害対策室を設置し、72時間の執務を想定しました。
本建物には防災・保安兼用の発電機を計画しました。
また、電力以外にも上水、中水、下水のすべてのインフラが途絶した場合を想定しており、受水槽、中水槽、緊急時排水槽を設置しています。
非常時にこれらの備蓄インフラ(水、発電機燃料など)が実際に何時間使用可能なのかを把握することは難しく、残容量によっては利用制限が必要になる可能性もあります。
そこで、備蓄インフラの残容量から継続使用時間を予測し、画面に表示し最適な機能維持が図れるように建物利用者を支援するBCPサポートシステムを導入しました。 - ウェルネスオフィスとICT・IoTの活用
採光と遮光を同時に行う採光ブラインド(自社開発技術)を採用しました。
上部の採光部は太陽光を室内へと導き、天井面を照射するため、利用者がまぶしさを感じることはありません。
これにより日中の照明エネルギー低減にも効果を発揮しています。
また、本建物には見える化モニターを設置しており、BEMSで収集したエネルギー使用量の実績値を表示し、来訪者やオフィスワーカーに対してZEBの達成度を示しています。
建築主 | 渡辺地所株式会社、株式会社サンライト |
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所在地 | 福岡県福岡市博多区住吉4丁目1番2号 |
用途 | 事務所 |
構造 | 鉄骨造 |
階数 | 地上7階 |
敷地面積 | 1,109.93m2 |
建築面積 | 873.06m2 |
延床面積 | 6,173.74m2 |
工期 | 2016年12月~2018年2月 |
設計 | 大成建設株式会社九州支店 |
施工 | 大成建設株式会社九州支店 |
詳細 | NEWS: 2018.09 「大成建設九州支店オフィス」が日経ニューオフィス賞九州・沖縄ニューオフィス推進賞を受賞 https://www.taisei-design.jp/de/news/2018/09_02.html WORKS: https://www.taisei-design.jp/de/works/2018/jshakata.html |
電気設計担当者
宮田大地