当社開発の室内緑化技術「バイオプランター」が2023年度グッドデザイン賞を受賞しました。
「バイオプランター」は、2022年3月「大成建設技術センター本館」改修工事の際、エントランスホールに設置されました。
「バイオプランター」を取り囲むように配置されている木製家具「TAC.Tの輪」は、遺伝的アルゴリズムを用い、バイオフィリックデザイン※を実現しました。
建築・家具・アート・ランドスケープの境界をあいまいにした形態は、フレキシブルに利用されるエントランスに人々が集う空間を創造し、WellnessとABWの促進を実現しました。
※バイオフィリックデザイン:自然を感じる形態により人々の幸福度や創造性を高めるデザイン
公益財団法人日本産業デザイン振興会が主催する当賞は、総合的なデザインの推奨制度です。
デザインによって私たちの暮らしや社会をよりよくしていくための活動であり、1957年の開始以来、シンボルマークの「Gマーク」とともに広く親しまれてきました。
当賞は、製品、建築、ソフトウェア、システム、サービスなど、私たちを取りまくさまざまなものごとに贈られます。かたちのある無しにかかわらず、人が何らかの理想や目的を果たすために築いたものごとをデザインととらえ、その質を評価・顕彰しています。
GOOD DESIGN AWARD (g-mark.org):https://www.g-mark.org/
バイオプランター
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概要
バイオフィリックデザインによる自然とのつながりをオフィス空間で最大化するために、日本本来の植物を使い、人工物の露出を抑えた室内緑化を開発しました。室内で健全に生育し、四季を感じられる在来植物と、周囲を土に囲まれた自然な形と質感を持つプランターによって、室内緑化の持続性と外部の自然との連続性を両立しています。
デザインのポイント
1.自然とつながる植物/室内で健全に生育し四季の変化を感じられる日本本来の在来植物を使用
2.自然を感じる素材/プランターの露出を最小化して見える部分のほとんどを土と植物で形成
3.自然を感じる形態/ステンレスプランターの加工と土の成型によって自然な形態と質感を再現
背景
人が本能的に求める自然とのつながりを意味するバイオフィリアは、オフィス空間において利用者に安らぎを与える大切な要素です。日本の自然が持つ最大の魅力は、花や紅葉に代表される四季の変化です。しかし、室内緑化では安定して生育する外来の観葉植物が使われることが多く、室内で外と同じように四季を感じることは困難でした。また、室内に置かれたプランターが持つ四角や丸の人工的な形態は、複雑な曲面で形作られる自然とは対照的です。 そこで、四季が感じられる日本本来の在来植物を使い、見える部分のほとんどを土と植物で作った室内緑化を考えました。これは、オフィス内であっても外と同じように自然とつながるための、建築の中と外との連続性を強化する試みです。
経緯とその成果
室内で生育する日本の在来植物を探すため、70種以上の在来植物について室内生育試験を行いました。室内では難しいとされる紅葉が見られるものも含め、安定して生育する約50種の在来植物を選定しています。プランターの素材は、加工が難しいものの水やサビに強く強度が高いステンレスを採用しました。水を貯めるための水密溶接、溶接時の歪みをあらかじめ考慮した型取りなど、長年培われた金属加工技術によって自然な形態を実現しています。プランターの周囲の土は透明な樹脂で固め、メンテナンス時の踏み付けや、いたずらにも耐える強度を確保しました。固化した土の表面を荒く仕上げることで、土壌が持つ自然な質感を再現するとともに植物の根が定着できる凹凸を作り、植物の成長に伴ってプランター全体が植物に覆われる仕様にしています。これらの過程を経て、室内緑化に必要な堅牢さと持続性を確保し、より自然が感じられる意匠を実現しています。
建物概要
- 用途
- 室内緑化
- 設計
- 大成建設株式会社一級建築士事務所
- 施工
- 大成建設株式会社横浜支店