NEWS 2023.10

「五島リトリートray」がグッドデザイン賞を受賞

  • 南西側全景

    南西側全景:手前の鐙瀬海岸と奥の鬼岳に正対するようにホテルが配置されている

  • エントランス水盤

    エントランス水盤:水面には空にある雲が映り込み、反射した光の揺らぎがキャノピーの軒天上に映り込む
    撮影:ナカサ&パートナーズ

  • 2階ロビー

    ロビー全景:ロビーには、壁と天井に特殊コーティングを施したアルミパネルを貼り、外の景色をぼんやりと映し込み、
    ロビーの中まで水平線を引き込んできている。ロビー中央のテーブルにも景色を移し込む仕掛けが施してある
    撮影:ナカサ&パートナーズ

  • 1階執務室

    ロビーレセプション:五島の歴史の暗喩としてステンドグラスとアーチ形状の窓が使われている
    撮影:ナカサ&パートナーズ

  • 次の100年を目指す持続可能な建築に向けて

    客室:窓際の壁に鏡を貼ることで外に広がる水平線や景色を室内に取り込んでいる。ステンドグラスやクラシックな家具を配して、
    五島の歴史や文化を感じられる空間としている
    撮影:ナカサ&パートナーズ

当社共同設計・当社共同施工作品の「五島リトリートray」が2023年度グッドデザイン賞を受賞しました。
公益財団法人日本産業デザイン振興会が主催する当賞は、総合的なデザインの推奨制度です。
デザインによって私たちの暮らしや社会をよりよくしていくための活動であり、1957年の開始以来、シンボルマークの「Gマーク」とともに広く親しまれてきました。
当賞は、製品、建築、ソフトウェア、システム、サービスなど、私たちを取りまくさまざまなものごとに贈られます。かたちのある無しにかかわらず、人が何らかの理想や目的を果たすために築いたものごとをデザインととらえ、その質を評価・顕彰しています。

GOOD DESIGN AWARD (g-mark.org):https://www.g-mark.org/

五島リトリートray

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広域配置

広域配置

広域断面

広域断面

概要

五島列島は遣唐使の寄港地や潜伏キリシタンの信仰の場でもあります。さらに自然遺産による地域活性化を考える五島市ジオパーク構想として周辺の面的整備も進められています。本ホテルは、長崎県五島市の西海国立公園の鐙瀬海岸エリアにて、地域創生を目的にその魅力を伝え、地域活性化のシンボルとして計画されたスモールラグジャリーホテルです。

デザインのポイント

1.組積造建築をイメージさせる厚みある壁柱やアーチ窓、壁面のレリーフ等のIconicなディテール
2.特殊加工のアルミパネルを使い、外の景色をぼんやりと映り込ませ水平線や外の景色をロビー内に映し込んだ
3.全室海に面した客室は7.4mのワイドスパンとフルハイトサッシを採用、テラスには露天風呂を配した

背景

五島列島は地質遺産の活用を評価するジオパークに認定されています。ジオパークの重要な拠点である鐙瀬ビジターセンターと鐙瀬海岸に隣接し、鬼岳を一望できる本ホテルに対し、行政及び地元住民から地域振興に対する大きな期待が寄せられています。島の象徴である鬼岳とその噴火による溶岩で覆われた鐙瀬海岸が自然遺産としてだけでなく、この地に住む人たちが日々意識される大切な風景であることを踏まえ、兼ねてよりそこに在り続けている佇まいを建築することを意識しました。この建築は新築ではあるものの、地域の歴史と文化を感じさせる遺構を掘り起こすようなデザインプロセスを意識し、組積造の建築をイメージさせる厚みのある壁柱やアーチ窓、壁面に施されたレリーフ、出窓状のスリット窓等のIconicなディテールが建築と地域の歴史と文化をつなぐものとしてデザインされています。また、ホテルの顧客が目の前に広がる海を体感できる内部デザインとなっています。

経緯とその成果

この建築は複数チームのコラボレーションによって生まれました。建築家がプロジェクトマネージャーを務め、デザインアーキテクト、インテリアデザイン、グラフィックデザインのチームを迎え、設計・施工としてまとめ上げられました。施主も含めた会議には複数チームに加え運営チームも出席し、それぞれの担当領域を飛び越えながら意見を交わしデザインを練り上げていきました。姿形として見えるものだけでなく、離島であることや、潮風に常にさらされ、台風直撃も多い過酷な自然環境の中での材料選定や工法の検証にも多くの時間をかけています。運営チームは五島の魅力を発掘することを目指し、地元事業者、関係者との協業に取り組んできた。ホテルがオープンして、地元の飲食店地元食材による料理提供は食材の90%以上が福江島産となり、地元物産、工芸品等のお土産販売と商品開発・地元アクティビティとの連携を実現しました。地元雇用の創出にも貢献しています。

建物概要

  • 建築主
    双日五島開発株式会社
    所在地
    長崎県五島市上崎山町2877外
    用途
    ホテル
    構造
    鉄筋コンクリート造
    階数
    地上3階
    敷地面積
    14,958.44m2
    建築面積
    1,277.79m2
    延床面積
    2,839.69m2
  • 工期
    2021年3月 ~ 2022年6月
    デザインアーキテクト
    株式会社アーキヴィジョン広谷スタジオ
    内装設計
    橋本夕紀夫デザインスタジオ
    開発設計
    都市企画センター株式会社
    設計
    大成建設株式会社一級建築士事務所
    施工
    大成・谷川建設工事共同企業体
WORKS:
五島リトリートray

大成建設担当者

  • 左から、吉田三香(設備設計)、宮本敬介(設備設計)、瀬川菜美(設備設計)、渡辺睦典(設備設計)、
    押川快(建築設計)、高橋秀秋(建築設計)、金子由里子(建築設計)、末木達也(構造設計)、佐野直哉(構造設計)、
    岩波将広(建築設計)、鈴木菜々子(植生計画)、西村英俊(設備設計)

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