当社設計施工の、「前川製作所新本社ビル」「麻布ガーデンズ」「セガサミーホールディングス八王子野球施設」「南江堂第二ビル」「アゼリアヒルズ」の5作品が、「2010年度グッドデザイン賞」を受賞いたしました。

財団法人日本産業デザイン振興会が主催する当賞は、1957年に通商産業省によって創設された「グッドデザイン商品選定制度」を継承し、1998年より財団法人日本産業デザイン振興会の主催事業となったわが国唯一の総合的デザイン評価・推奨システムで、グッドデザイン賞審査委員会による審査の結果、優れたデザインと認められた応募対象に贈られます。

50年以上にわたる歴史の中で、当賞は広く世間に認知され価値あるものとなっています。
今回の5作品の受賞により、当社の最新技術に裏打ちされたデザイン力が高く評価されました。

グッドデザイン賞：
https://www.g-mark.org/

前川製作所新本社ビル

自然エネルギー活用と、建築の素形美を追求して省資源化を図ったサステナブルオフィスである。石膏ボード等の安易な内装仕上材を使用せず、構造体、床オープンデッキ、押出成形セメント板等の素材感を生かした内部空間とし、これを補完するように、特注ルーバー付き照明やエキスパンドメタル壁をデザインし、全面床吹出し空調システム等の設備にもデザインとの融合を図っている。環境負荷低減となる新たな技術を多数採用しており、CASBEEはSランクである。水辺空間と一体化した外構オープンスペースを設ける事で、人の流れを呼び込み、緑・水・風が感じられる新しい風景を創出し、深川地域の活性化を担っている。

[デザイナーより]
・深川地域への貢献と地域共生　・社内コミュニケーションの向上　・快適で働きやすいワークオフィスの実現　・安心・安全に働けるオフィス環境の実現　・環境負荷低減技術多数採用によるCASBEE-Sランクの実現

麻布ガーデンズ

集合住宅としてLEED-NC認証第1号。東京・元麻布という都心に自然と調和した居住環境を創出。外国人をはじめとする国際感覚を持つ入居者を対象とした賃貸集合住宅である。建築に留まらず地域の無電柱化など積極的な取組み、長期的な価値を持つ上質なグランドデザインを行った。近年、周辺地域に超高層集合住宅が続けて完成している一方で、住まいとしての人工的な環境に抵抗感を持つ人々が存在する。本計画は、日頃都心で多忙な業務をこなす入居者のために精神的な癒しや家族への安心感を提供し、日本的な自然との親和性、優しい街並み、光に満たされた居住空間といった理想の住まいを再評価し社会資産としての上質なデザインを試みた。

[デザイナーより]
長期的な価値を持つ優良作品を創出し、地域社会の活性化につながるような永続的価値のあるプロジェクトを連続的に推進する事。そして、環境にやさしく高品質で優れた住まいを提供する事。きめ細かいメンテナンスを必要とする立体的な植栽計画や周辺地域の無電柱化など居住者に対して間接的に、しかし住環境に大きな影響を与えるテーマに積極的に取り組む事。

セガサミーホールディングス八王子野球施設

セガサミーホールディングス野球部は、東京ドームで行われる全国都市対抗野球大会の東京都の代表として、出場を常連としている強豪チームです。2009年4月、ホームグランドとして100人が観戦できる屋外球場・クラブハウス・24室の寮・室内練習場が完成しました。小高い丘に自然と調和する「勇者の丘」を築くことを設計理念に掲げ、斜面の中ふくのクラブハウスは、25本のコンクリートと21本の木ルーバーの列柱が連なり、自然の景観の中で力強い表現を行っています。侍が「昇り旗」をひるがえし、風（自然）になびかせながら、領域を築いた「陣地」をデザインし、球団の強いエネルギー姿勢と地域環境との融合を表現した作品です。

[デザイナーより]
戦う者達のエネルギーが内包された「勇者の丘」を25本のコンクリートと21本の木の列柱が連なる「陣地」を表現することで、力強く且つ、地域や自然との癒合に配慮した計画を行いました。

南江堂第二ビル

建築主が本を扱うことから、本箱のイメージを具現化しました。柱型・梁型の出ないフラットプレート構造により、300mmのフラットスラブ間に構造体である壁柱・開口部を自由に配置できるシステムを構築しています。階段、ELV等の納まるコア部分に水平力を負担させ、外壁を構成する壁柱は主に垂直荷重を負担することでこのシステムが成立しています。室内に柱型・梁型が出ないため、事務室レイアウトのフレキシビリティを高め、スラブ下まで伸びる自然換気可能なハイサッシ・窓廻りの折上天井を利用した間接照明などにより、開放感あふれるすっきりとした執務空間を実現しています。

[デザイナーより]
建築主である南江堂が本を扱われていることから、本がランダムに並ぶ本箱のイメージが隣地公園から伺える様に計画しました。また、緑溢れる公園との関係性を考慮しながら、執務空間における快適性を追及すると同時に、事務所のフレキシビリティを高めることのできる、柱型が出ない構造形式を検討しました。

アゼリアヒルズ

JR仙台駅東口から徒歩5分にそびえるアゼリアヒルズは、SPC事業によるテナントオフィスビルである。仙台の名産品である仙台箪笥、こけしは、一つのボリュームに彫り込みを入れることで洗練された工芸品として伝統を今に伝えている。アゼリアヒルズでは、この仙台の文化・伝統を象徴する「HORI／彫り」の技法を建築化する際のモチーフとして引用した。具体的には、層間区画部分に彫り込みのあるコの字型PCa版を設け、重量感と陰影のある表層を生み出した。更に1・2階は、歩く人々や街への圧迫感を無くす為、建物ボリューム自体を彫り込み、そこを公開空地とした。

[デザイナーより]
地方都市における大規模オフィスは、その地方の特産品をモチーフとして表層化する場合が多い。アゼリアヒルズでは、特産品をモチーフとするのでなく、伝統・文化を表層化することで、JR仙台駅東口のランドマークとなるようデザインした。また、石を基調とする重量感のある近代建築、ガラスを基調とするシャープな現代建築、両方の良い部分を合わせ持つロングライフデザインの建築を目指した。