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WORKS 2012

聖ベルナデッタ修道院

用途:修道院(カトリック教会)
所在地:東京都練馬区
延床面積:1,879.99m2
地上:3階

建築設計主旨

聖ベルナデッタ修道院は、2010年竣工の「ペトロの家」が御縁となり、計画が進められた高齢シスターの為の修道院です。
36の修室と食堂や浴室等の共用部と1階と3階の2つの聖堂により構成されています。
外観は陰影のある厚みの違うタイルをランダムに貼り暖かみのある表情を目指しました。
サッシの抱きを大きく、軒を深くし、建築的な端正さの追及と光と影の変化が楽しめる形態となっています。
また、修道院の規律を重視した居住空間と対照的に、適度なスケール感をもった中庭につながる明るいエントランス空間と地域に開かれた教会として1階の御御堂(聖堂)をより建築の空間的に昇華させることを意識しています。
1階の御御堂(聖堂)は、当社が開発したT-Refを用いてトップライトの自然採光を行っています。
天井は光のキャンバスとなるように真っ白な帆立貝の粉末で構成される調湿度作用のある塗料を採用しています。
天井面の設備を一箇所に整理統合し、外界の微細な光の移ろいで空間が演出できるように配慮しています。

一方3階の小聖堂は洞窟をイメージし、光量を絞った計画で落ち着きのある祈りの空間を演出しています。

構造設計主旨

構造種別は鉄筋コンクリート造、架構形式は壁式構造として設計しています。
壁式構造とすることで、高い耐震性能を確保すると共に、室内に柱・梁型の出ない、シンプルな居室空間を生み出しています。
また外観上も、スリット窓を配した壁、バルコニー側に並ぶ壁柱、という壁式構造の部材により、多彩な表情を演出しています。
付属する聖堂の屋根部分は鉄骨造とし、屋根を軽量化することで、構造的な負担を軽減するように配慮しています。
基礎構造は既成杭(PHC杭)による杭基礎とし、GL-8m付近の砂礫層に支持しています。

設備設計主旨

高齢シスターが自主管理可能なように、安全性が高く、メンテの簡易なシステムを採用しています。
また、シスターの修室に極力入らないでメンテが出来るよう機器を配置しています。
照明計画は、高齢者の配慮として全体的に高照度な設定とし、高天井箇所には長寿命なLEDとしています。
また、御御堂(聖堂)の採光計画としては、トップライトにパッシブな光のコントロールを可能としたルーバーを設置し、太陽の向きの変化によらずに聖堂内に拡散した自然光を照射します。

空調計画は、1階の一部にGHPを採用し、その他は個別の管理が容易なパッケージ型の空調機を採用しています。
御御堂(聖堂)については、GHPの他に季節に応じた運転が出来るよう、ガス温水式床暖房と熱気抜き用ファンを設置しています。

採光計画主旨

トップライト=「T-Ref」と光シミュレーションによる空間デザイン
カトリック教会の聖堂は自然界に呼応する「御御堂」として、光の操作が建築の最重要課題であり、外界の微細の光の移ろいを空間全体に柔らかく拡散し、豊かな空間演出をもたらす必要がありました。
そこで、季節、時刻により位置が変わる太陽光を、常に祭壇側に導き、上方からの柔らかい光として照らすようなトップライトの仕組みを計画しました。
トップライトは、スリガラス・内面ミラー・2段格子ルーバーで構成。これら一式の総称が「T-Ref」。ガラス面で太陽光を拡散した後、上段のルーバーで横方向の広がりを抑え、下段の傾斜ルーバーで光の方向を祭壇方向に制御(指向性)し、柔らかく照射します。

担当

担当
設計 大成建設株式会社一級建築士事務所
採光計画協力 環コラボレイトデザイン 山本出
大成建設担当者
建築設計 教誓勉、渡邉智介、光高啓二
構造設計 小田切智明、中島崇裕
設備設計 吉永實(前期)、小畠忠久(前期)、小野田修二(後期)、仲川純子(後期)
電気設計 吉永實(前期)、小野田修二(後期)、古宇田真一
外構 蕪木伸一、小倉満
採光計画 横井睦己、小林光、菅原圭子