ペトロの家
- 用途:修道院
- 所在地:東京都文京区
- 延床面積:1,960.29m2
- 地上:3階
建築設計主旨
「ペトロの家」は、カトリック東京大司教区本部構内整備計画の一環として建設された司祭のための宿舎です。
独身として教会のために人生をささげた高齢司祭、病気の司祭を中心に、共同生活をしながら安心して過ごせる教会の施設です。
東京カテドラルを核とするカトリック東京大司教区本部の敷地全てを計画敷地とし敷地周囲の二項道路や外構を整備し、街並みに貢献するカトリック教会のあるべき姿を実現しました。
中庭空間を中心とし、24室の司祭室、共同の食堂、厨房、ランドリー、応接室、小聖堂から成ります。
小聖堂は正八角形のエキュメニカルフォルムを採用し、求心性と共同体意識の助長を目指す計画としました。自然界との繋がりを重要視し、光と風を建築的にコントロールした祈りの空間です。
構造設計主旨
本建物は、階数が1~3階で耐力壁が主の壁式構造の司祭室部分と、平屋で開放的な空間が計画され、梁型、柱型として架構を構成する耐力壁付帯ラーメン構造の共用部分が混在していますが、全体の壁量は十分であることから、一体の建物とし、壁式鉄筋コンクリート造として構造計画を行っています。
構造性能の評価は、水平力に対して挙動が違う部分があるため、また、両部分が接続する2階床レベルでの応力の伝達を適切に評価することを目的とし、建物全体で解析を行い、保有水平耐力や各部分の応力状態等を細かく確認し、構造の安全性を確保しています。
設備設計主旨
高齢司祭が自主管理可能なように安全性の高く、メンテの簡便なシステムの採用としています。
照明計画は、高齢配慮として全体的に高照度な設定とし、高天井箇所には長寿命なLEDとしています。また、聖堂の採光計画としてはトップライトにパッシブな光のコントロールを可能としたルーバーを設置し、太陽の向きの変化によらずに聖堂内に拡散した自然光でありながら、祭壇が一番明るくなるようにしています。
空調計画は、個別の管理が容易なパッケージ型の空調機を採用し、聖堂および食堂の空調については快適性向上のために床吹出方式としています。
ランドスケープ設計主旨
「ペトロの家」の中心となる中庭は、壁泉と明るい葉色の3本のシンボルツリーによるシンプルな構成により、明るい日差しとそよ風が通る、水と緑の憩いの場としています。
壁泉の心地よい水音を提供するとともに司祭の集いの場としても利用可能です。
外周の植栽は、郷土種を中心とし、花や紅葉など四季の変化を楽しめる樹種を選択しています。
また、緩やかで自然な緑のスカイラインとなるように植栽することで、より自然な緑に包まれた施設となるように計画しています。
担当
大成建設担当者 | |
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建築設計 | 米原芳男、教誓勉、渡邉智介 |
構造設計 | 小室努、辰濃達 |
設備設計 | 堀雄二、上田泰史 |
電気設計 | 木下清一 |
採光計画 | 横井睦己、小林光、菅原圭子 |
ランドスケープ | 蕪木伸一、小倉満、神田祐樹 |
社外受賞
2012年 | 第10回 環境・設備デザイン賞 建築・設備統合デザイン部門 入賞 |
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