- 用途
- 物販店舗、飲食店、工場、集会場
- 所在地
- 広島県広島市
- 延床面積
- 3,424.78m2
- 階数
- 地上5階
- Technology & Solution:
- 広島アンデルセン
建築設計コンセプト
使われて続けてきた被爆建物「広島アンデルセン」の継承
旧建物は、1925年竣工の長野宇平治設計、鉄筋コンクリート造2階建ての旧三井銀行廣島支店。被爆後に復旧。
1948年にアンデルンセングループの創業者が、パンを通して「食卓に幸せを運ぶ」ことを志し、広島のこの建物でベーカリーを始めました。
以降、デンマークの「旧いものを新しく活かす」考えに倣い、「広島アンデルセン」として増改築を重ねて使われ続けてきました。
耐震性能不足による解体を前に、被爆した外壁の状態が最も残る爆心地と反対にある東側の部分を保存し、新店舗の東面外壁に再設置しました。
窓枠とその装飾を含めた形状、積み方をそのまま保存するため躯体ごと切り出し、人造石部分65㎜を残してスライス、PCa板化する工法としました。
その他の範囲は、創建当時の列柱を含めて意匠を復元しました。
広島の時間・空間・人と交差する建築
被爆した旧建物の要素を保存しながらモダンデザインと融合し、更新性に配慮した計画で未来へつなげる「時間の交差」。
アーケード街の賑わい、デンマークを感じるベーカリーマーケットを抜けた先で、HYGGE Parkの自然に遭遇する「空間の交差」。
門型の構造体がそのままインテリアとなった空間で生まれる「人の交差」。
十字柱に象徴される「CROSSING」で形づくられた建築です。
構造設計コンセプト
広島を代表する店舗の建替です。
旧店舗は被爆台帳にも登録されており、被爆壁をどのように新築店舗に取り入れるかがプロジェクトの命題の1つでした。
被爆壁をPCa板化し、新築の躯体から「暖簾壁」として取り付けることで、「被爆壁の既存意匠」と「構造スリットによる耐震性確保」を両立させました。
また、構造体をそのまま建築の仕上げとして表現するため、さらに十字型の柱や設備の取り込みを容易にするため、外周部の梁を偏平としてデザインと一体となった構造計画に努めました。
設備設計コンセプト
全ての階に厨房を有しており、セントラルキッチンによる建物ボリュームのコンパクト化と、外周偏平梁による計画の柔軟性と将来の更新性の向上に配慮し、適切な換気、空調、給排水設備を心がけました。
また、屋上の機器も一般の建物より多く配されているため、メンテナンスを考慮した動線の確保に努めました。
担当
担当 | |
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設計 | 大成建設株式会社一級建築士事務所 |
映像制作 | GRAFILM |
大成建設担当者 | |
建築設計 | 中藤泰昭、傳法一成 |
構造設計 | 藤村太史郎、井之上太、堀愛里香 |
設備設計 | 高木淳、斧田浩一、嵐城太郎、芳岡里美 |
電気設計 | 高木淳、内田元、藤間一憲 |
インテリアデザイン | 徳野博子 |
外壁保存 | 杉江夏呼、中谷扶美子 |
受賞
2021年 | 日本空間デザイン賞2021 ショップ空間 LongList |
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