- 用途
- 作業所事務所、周辺環境設備
- モデル1
- 赤坂中学校(作業所)
所在地:東京都港区
延床面積:1,069.66m2
階数:地上3階 - モデル2
- 下高井戸調整池工事(作業所)
所在地:東京都杉並区
延床面積:1,910.80m2
階数:地上3階 - モデル3
- 千葉市新市庁舎整備工事(作業所)
所在地:千葉県千葉市
延床面積:315.90m2
階数:地上3階
全体コンセプト
全体概要
「ウエルネス作業所」は、これまで効率性・経済性が優先されてきた建設現場に、働く人達にとって居心地の良い環境を提供する事で働き甲斐と生産性の向上を目指す取り組みです。
全国の建設現場に展開しやすいよう様々なデザイン手法を纏めた「ウエルネスレシピ」を作成し、規模や工期が異なる現場毎にカスタマイズが可能な仕組みを創出しました。レシピは、配置計画、プラニング、緑化やサインなど100にも及ぶデザイン手法で構成され、評価・更新し続けます。
取り組みの背景
近年オフィスワークを中心に、働く環境の改善とワークエンゲージメントの向上、生産性の向上を図る取り組みが増えています。その一方で、建設現場は3Kといわれるように効率性・経済性が優先され、仮設建築物であることも一因として、そこで働く社員・作業員を取り巻く環境の質はオフィスのようには考慮されてきませんでした。また近年は作業員の高齢化が進み、職人離れと後継者不足が深刻となり、建設現場での生産性の向上と、魅力的な環境の創出が喫緊の課題となっているといえます。
このような課題意識の元、建設現場における働く環境の改善とワークエンゲージメントの向上、生産性の向上を図る先駆的な取り組みとして、建築設計者が主導しワークプレイスデザインの手法を活用し、屋内・屋外の魅力的な空間づくりを通じた新しい建設現場の創出と、それを全国に展開する取り組みが「ウエルネス作業所」です。また、従来はローコスト仕様のプレハブとなっていた現場事務所の断熱性能を高め快適性を向上させると同時に、様々な環境配慮技術を盛り込む事で日本初のZEB Ready認証を取得する環境本部の取組みとも連携しています。
大小さまざまな100の「ウエルネスレシピ」
全国に多数ある建設現場を個別にデザインする事は限界があります。そこで現場毎に自由にカスタマイズしながら豊かな環境を創出できるデザインのノウハウを詰め込んだ100の「ウエルネスレシピ」を用意しました。レシピは建物の配置に関する「ヴォリューム」、平面計画に関する「プランニング」、家具などの「エレメント」の3パートで構成されます。
モデルプロジェクトでの実現
これらレシピを自由に選択し組み合せる事で実現する新しい建設現場を、モデルプロジェクトとして3か所で実現しました。
赤坂中学校等整備工事(作業所)では、3分棟されたヴォリュームの間に足場板で作られたデッキスペースを設け屋外環境に豊かなコミュニケーションを創出、千葉市新市庁舎整備工事(作業所)では外部の人を受け入れるスペースを生み出し地域に開かれた事務所を実現、下高井戸調整池工事(作業所)では様々な居場所を自由に選択できるようにし、土木工事の長期現場でも快適に過ごせる現場を作りだしました。
※掲載写真は全て赤坂中学校等整備工事(作業所)のもの
運用時のアンケート・ヒアリング調査と今後の展開
さらに、これら3モデルプロジェクトの運用開始後、アンケートやヒアリング調査を行いました。「現場の人間関係が良好になった」「人が顔を合わせやすい動線でひらめきも生まれる」「ベンチ、テーブルがあちこちにありリラックスしながら知らない人同士でも会話が弾む」等のコミュニケーションの向上や、「気分よく働ける執務室でモチベーションも上がる」「現場を見ながらテラスで打合せでき問題点を共有できる」等、直接的に生産性の向上を示す回答も多く見られました。また「フリーアドレスの職長室で机がいつも片付き清潔感が上がった」「しっかり休んだあとは次の作業に気合も入る」などリチャージ・リフレッシュ効果や精神的充実も表れており、従来の建設現場と比較して多面的な効果が得られることが確認されました。
今後の展開として、これら調査結果を反映し、「ウエルネスレシピ」の評価やアップデートを行い、より効果的な「ウエルネス作業所」の実現を推進していく計画です。
担当
担当 | |
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設計 | 大成建設株式会社一級建築士事務所 |
大成建設担当者 | |
統括 | 松村正人 |
設計 | 出口 亮、麻田北斗、飯田雄介、鬼頭朋宏、滝村菜香、河村悠希、平林永里加 |
受賞
2021年 | 第34回 日経ニューオフィス賞ニューオフィス推進賞 クリエイティブ・オフィス賞(赤坂中学校) |
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2021年 | 2021年度 グッドデザイン賞 |