当社設計・施工作品である「みなとみらいセンタービル」が、構造分野で権威のある、「平成22年度PC技術協会賞作品賞」「2011年日本コンクリート工学会賞作品賞」「第22回JSCA賞」の3つの賞を受賞いたしました。

「みなとみらいセンタービル」は、横浜市みなとみらい地区の中心部に立地する、高層階を大型オフィス、低層部を商業施設とした複合施設です。
構造は、当社保有技術である「知的制振システムTASMO」＋「ハイブリッドTASS免震構法」を組み合わせた構造形式「TASMO-HD」を今回初めて採用しています。
薄い壁柱を梁やダンパーでつなぎ、ファサードも兼ねた構造躯体にする仕組みで、壁柱とダンパーが地震エネルギーを吸収し、ビル揺れを低減します。また、同時にこの壁柱は日射を遮蔽するルーバーの役割も担います。
これらの特長を生かし、柱の無い、貸しやすく、使いやすい「スクエアオフィス」を実現しています。
上部構造は、広いオフィス空間確保するために約23mの無柱空間となっており、居住性能の確保とコストを考慮して、鉄筋コンクリート造を採用しています。
ロングスパンと壁柱という相反する条件を解決するため、プレキャスト工法によるプレストレスト梁（PCaPC梁）を用いて鉛直荷重のみを負担させるようにし、壁柱に面外曲げが作用しないようにピン接合として外周とコア部の壁柱間に架け渡しています。

これらの点を高く評価され今回の構造分野でのトリプル受賞につながり、当社の高い技術力を広く知っていただくことができました。

構造設計を担当した有山伸之氏の受賞の弁
（機関誌機関誌「structure」より）
この度はJSCA賞作品賞に選出して頂き、誠にありがとうございます。
また、東日本大震災により亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。今回の朗報を最初に受けました時、思いもよらぬ驚きと同時に、この未曾有の事態を前にして喜んでいる場合だろうかという思いが巡りましたが、大震災に向き合い復興へ日々格闘している方々のことを思いますと、この震災によって何を学び、構造設計者の一人として何をなすべきかを改めて自分自身に問い直したいと強く感じました。
この超高層ビルは、みなとみらい地区としてはじめて容積率250%の割増しを取得したプロジェクトになります。テナントオフィスビルとして、その事業性の高さと立地条件の良さを充分に発揮できるような魅力ある建築空間づくりと、安全・安心でかつ経済性の高い建物であることがテーマとなりました。その実現に向けては、基本設計時から意匠・構造・設備そして施工チームが一緒に議論を重ね、問題点を洗い出し、その課題を一つ一つ乗り越えて行く作業の連続でした。決して完璧ではありませんが、より良い解決へ向けて熱意をもってものづくりを進めました。そのような中で一人一人の思いが込められ一つの気運となって出来上がっていった作品のように感じます。このようなの思いが結集して今回の受賞へと導いてくれたのではないかと思います。
最後に設計の機会を与えていただきましたオリックス不動産株式会社様、大和ハウス工業株式会社様および株式会社ケン・コーポレーション様によるオーディーケー特定目的会社様の皆様に深く感謝致します。また、一緒に設計をまとめ上げた設計チームの皆様、材料から構造部材まで施工性も含めた様々な実験・開発を行っていただきました技術チームの皆様、要求精度の高い施工を実現していただきました作業所の皆様、そして製作にあたり細部にわたる品質確保にご尽力をいただきましたPCa工場はじめ各種メーカーの皆様に深く御礼申し上げます。

NEWS：
2009.12 「みなとみらいセンタービル」が、「CASBEE横浜」で
最高位の評価Sランクを取得
https://www.taisei-design.jp/de/news/2009/12_01.html
2010.06 みなとみらいの新しいランドマーク、
「みなとみらいセンタービル」がついに完成
https://www.taisei-design.jp/de/news/2010/06_01.html