NEWS 2024.11

「KINOSHITA Fe26 木下工業 新工場・新事務棟」がグッドデザイン賞を受賞

  • 工場棟内観

    工場棟内観:事務所および工場の構造は鉄骨FAB自社製造の鉄骨を使用し架構を魅せる計画

  • 工場棟内観

    工場棟内観:雪国独特の雁木空間を思わせる組立て柱下部はノーヘルメット通路とし、従業員の日々のリズムを作り出す

  • 事務所棟・工場棟北側外観

    事務所棟・工場棟北側外観:敷地全体は9,000坪、工場棟は全長170m幅80m高さ14mと福井県内屈指の広さを誇る

  • 事務所棟食堂・耐震棚

    事務所棟食堂・耐震棚:耐震棚は耐震要素として事務棟の短辺方向の地震力を負担。空間を緩やかに分節し多様なアクティビティを共存させている

  • 事務所棟休憩室・耐震棚

    事務所棟休憩室・耐震棚:耐震棚の鉄板は木下工業が製作、棚板は地場産材を採用することで愛着が生まれる

当社設計・当社施工作品の「KINOSHITA Fe26 木下工業 新工場・新事務棟」が2024年度グッドデザイン賞を受賞しました。
公益財団法人日本産業デザイン振興会が主催する当賞は、総合的なデザインの推奨制度です。
デザインによって私たちの暮らしや社会をよりよくしていくための活動であり、1957年の開始以来、シンボルマークの「Gマーク」とともに広く親しまれてきました。
当賞は、製品、建築、ソフトウェア、システム、サービスなど、私たちを取りまくさまざまなものごとに贈られます。かたちのある無しにかかわらず、人が何らかの理想や目的を果たすために築いたものごとをデザインととらえ、その質を評価・顕彰しています。

GOOD DESIGN AWARD (g-mark.org):https://www.g-mark.org/
KINOSHITA Fe26 木下工業株式会社 新工場/新事務棟:https://www.g-mark.org/gallery/winners/25227

KINOSHITA Fe26 木下工業 新工場・新事務棟

概要

福井県の鉄骨ファブである木下工業株式会社の工場と事務所を建て替える計画です。業界の3Kイメージを払拭し魅力的な業界に変えるために、自社の鉄骨技術で新しいデザインに挑みました。効率的でシンプルな製造ライン、従業員にとって快適で安全な作業環境、鉄骨量を削減し資源を大切にすること、これらを実現するダイナミックで美しい工場が完成しました。

デザインのポイント

1.自社製造の鉄骨を積極的にあらわしとした、ダイナミックで美しい魅せる鉄骨ファブ工場
2.合理的な構造架構計画で、鉄骨量と杭本数を削減。資源を大切にする新しい鉄骨ファブの在り方
3.雁木空間を思わせる安全通路や効率的な換気システムで、業界の3Kイメージを払拭する快適な環境づくり

背景

福井の地で北陸地方を中心に数多くの鉄骨を供給してきた木下工業の創業75周年を記念するとともに、工場規模を約1.4倍に拡大して製造力を強化することを目的としてスタートした事業です。製造力の強化には、工場規模の拡大と同時に人材の採用強化が必要でしたが、業界全体で人材不足が深刻化している現状があります。鉄骨ファブ業界のネガティブなイメージを払拭し、製造業を魅力的にしていかなければ若く優秀な人材を多く採用するのは困難という問題意識がありました。
そこで、明るく新鮮な空気に満ちた作業環境と振動騒音のない事務環境を実現するウェルネス化や、環境負荷の高い鉄骨部材を最小限に抑えて資源を大切にするサステナブルなデザインなど、業界の新しい常識や価値観を取り入れ具現化していく挑戦の場ととらえました。鉄骨加工を生業としてきた木下工業が、自社の建設工事で何ができるか、設計者と一体となり、ゼロから考えていきました。

経緯とその成果

効率的なワンウェイ動線を作る東西に長いプランを実現するためには、短辺方向にブレースのない空間が必要です。組立柱形式の採用で効率的に水平力を吸収した結果、細柱とV字柱のダイナミックで美しい空間を実現しています。鉄骨量と杭本数の削減に成功し、資源を大切にする工場となりました。
組立柱の形状を生かし、北からの卓越風を軒下から取込み中央の高窓から排気する仕組は、明るく新鮮な空気に満ちた快適な作業空間を提供します。組立柱の下部の雁木空間は、従業員用駐車場から事務棟への出勤通路でもあり、水平連続窓から見えるのどかな風景を楽しみながら、雨や雪の日でも気持ちよく出勤できます。
ZEB readyを取得している環境に優しい事務棟は、工場と別棟とし騒音振動のない従業員にも優しい事務環境です。従業員自らが作り上げた耐震棚が事務棟の安全を守り、事務棟を立体的につないでコミュニケーションを誘発します。誇りと愛着を持てる魅せる鉄骨ファブ工場です。

組立て柱方式で合理的な構造架構を実現

本建物は階高が平均12m、Y方向スパンが約17~23mと大きく、また積雪荷重が175cmと非常に厳しいため、Y方向のフレームには組立柱形式による剛性の大きな柱を設けることで変形を抑え、合理的な構造架構としました。

地域の気象特性を考慮した快適な作業空間を提供する断面計画

北からの強い卓越風を受け流し、かつ雪庇を防ぐ屋根形状。北側軒下の吸気ファンから外気を取り入れ、搬送ファンで外気を中継しつつ、中央のハイサイド窓から排気することで、有害な溶接フュームの効率的な除去を実現しています。

建物概要

  • 建築主
    木下工業株式会社
    所在地
    福井県坂井市坂井町東長田49字12番1
    用途
    工場、事務所
    構造
    鉄骨造
    階数
    地上2階
    敷地面積
    28,653.36m2
    建築面積
    13,305.66m2
    延床面積
    14,242.97m2
  • 工期
    2022年7月 ~ 2023年10月
    設計
    大成建設株式会社一級建築士事務所
    施工
    大成建設株式会社北信越支店
WORKS:
KINOSHITA Fe26 木下工業 新工場・新事務棟

大成建設担当者

    • 後列:設備設計 瀧澤幸大、電気設計 家坂昂希、構造設計 片岡卓也、構造設計 御所園武
      前列:建築設計 石川真吾、建築設計 井坂匠吾、建築設計 古市理

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