- 用途
- 宿泊・研修施設
- 所在地
- 栃木県栃木市
- 延床面積
- 6,136.312
- 階数
- 地上2階
建築設計コンセプト
自然・文化・人が最短距離でつながる森の教育拠点
本施設は栃木市県営みかも山公園の麓に建つ、栃木県のPFI事業による自然体験型の教育交流施設です。
小中学生を迎え入れる施設のため、空間体験すべてが学びの場となるよう県産材を積極的に活用するなど、学びの要素を随所にちりばめています。
伝統工芸品である鹿沼組子をモチーフとした正六角形の体育館の屋根架構は、栃木ならではの魅力を発信するデザインです。
この施設を使う人々が様々な体験を通じて栃木の文化・人を育み、県民に愛され、郷土愛を育むことのできる教育交流拠点になることを目指しました。
みかも山に寄り添う自然にやさしい建築
みかも山の豊かな自然を残すために、既存地形の勾配分析を行い、緩勾配エリアに集約して建物を配置することで既存樹木を保全することを意識しました。
また、みかも山の等高線に寄り添う建築形態とし、自然にやさしい建築としてデザインしました。
1階はみかも山の土を受けるため鉄筋コンクリート造として耐震性に配慮しています。2階は木造としてより身近に自然を感じられる温かみのある空間としました。
等高線に沿った平面計画は、山を散策している感覚を内部空間へも誘引することを意識しました。
「五感」を使って楽しく学ぶしかけづくり
空間体験全てが学びの場となるよう、五感を刺激する学びの要素をふんだんに取り入れています。
大谷石や八溝杉、益子焼など、この施設を形づくる栃木の文化を知り、自分の育った地域の特産品や素材に触れることで文化が継承され、宿泊体験の中で感じられる計画としました。
その核となるギャラリーコリドーと談話スペースには、本棚・ベンチ・展示スペースを計画しており、施設内を散策しながら好きな居場所を選択し、誰もが楽しく主体的に学べるきっかけになることを意図しました。
構造設計コンセプト
RC造と木造による立面混構造と栃木県産材の積極的利用
斜面に接触して計画される2階床より下部の構造は、耐震性能だけでなく、斜面からの土圧を負担することができ、防水性能や機密性能に優れたRC造としました。現場打ちのRC造は、敷地の高低差に合わせた構造体を構成するのにも適しています。
また、体育館と浴室周りを除く範囲の2階は栃木県産の木材を活用した木造とし、空間特性に合わせた適材適所の架構を採用しました。
鹿沼組子をモチーフとした体育館屋根架構
体育館の屋根架構は、栃木の伝統工芸品である鹿沼組子をモチーフとした立体木造トラスとしました。
平面形状は対角35mの正六角形であり、トラス梁接合部の金物を隠す納まりになるよう工夫をしています。
上下弦材はそれぞれ2段梁として部材長さを6m以下とし、流通材を利用することで県産材の利用促進にも貢献しています。
設備設計コンセプト
様々な環境配慮の取り組みによるZEB Oriented相当の性能を実現
環境への配慮として自然通風や昼光利用の積極的な導入、高効率空調機、LED照明、太陽光発電、節水型衛生器具を導入し、ZEB Oriented相当の省エネ性能を実現しています。
PFI事業のため汎用的な設備システム、標準仕様機器の採用とし保守管理のしやすい設備計画としました。
意匠性に沿った照明計画・空調計画を行い、エントランスの特注照明は鳥山和紙を使用、更新のし易さにも配慮しシンプルな形状としました。
BCP対策としてマンホールトイレと非常用発電機を設置し、停電時には事務室の電灯コンセント換気100%、共用廊下の電灯30%、体育館の電灯30%を保安電源供給としています。
担当
設計 | 大成建設・安藤設計共同企業体 |
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大成建設担当者 | |
建築設計 | 伊藤真樹、飯田雄介、松岡弘樹 |
構造設計 | 山﨑英一、阪井由尚、古賀威信、上野那穂子 |
設備設計 | 根本昌徳、小和田信裕、渡邊裕美子 |
電気設計 | 根本昌徳、桜井健二、皆川翔太郎 |
インテリアデザイン | 徳野博子 |
受賞
2024年 | 第58回 サインデザイン賞 銅賞 |
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