- 用途
- 渡廊下
- 所在地
- 神奈川県横浜市戸塚区
- 延床面積
- 102.72m2
- 階数
- 地上1階
建築設計コンセプト
一般流通材の利用領域拡大と、環境配慮コンクリートによる脱炭素社会の促進
大成建設技技術センター内の事務所棟と実験棟をつなぐ連絡通路の一部を構成する人道橋の計画です。脱炭素社会の実現に貢献のため、一般流通小径木材の利用領域を拡大することにより建築物における木構造の選択肢を広げ、木材の利用促進することを試みました。
一般流通小径木材は主に住宅建築で利用されている材料であり、大断面集成材に比べ小径であるためロングスパン構造への適用は不向きとされてきました。また、水、紫外線により腐朽、ひび割れ等があり、屋外利用における耐候性・耐久性の確保という課題がありました。
そこで、一般流通小径木材のロングスパン構造を可能とするため、高い耐力・剛性・耐久性を有する木部材ボルト接合を開発するとともに、木軸組みとプレストレス架構の併用による構造方式を採用しました。また、屋外利用における課題である耐候性・耐久性の確保を目指し、当社開発の木材保護塗料「T-WOOD® COAT」を適用、さらに木部材の交換が可能な設計により、一般流通小径木材の屋外利用における長寿命化を図っています。
構造設計コンセプト
ハイブリッド螺旋組構造
構造的特徴として、二重螺旋状に組み上げた一般流通小径木材(ヒノキ120x120)に、屋根面のタイロッド鋼棒、接合部を構成する鉄骨内蔵材、床鉄骨下地などをハイブリッドに組み合わせ、構造的に安定させた「ハイブリッド螺旋組構造」を構築しています。木材の内部組織構造「ヘリカルワインディング構造」をデザインモチーフとした構造架構です。
木材が交差する部分に採用した新規開発のボルト接合部(特許出願済)は、高い接合剛性・耐力を有するだけでなく、木部材間の隙間に水が滞留するリスクを低減し、屋外仕様のディテールを実現しています。
また、木材を屋外で使用する不利な条件に対し、木部材の更新を考慮した構造的工夫(置換・補強をあらかじめ想定した架構の部材構成、接合部形状の工夫、部材安全性の設定等)を行うことにより、冗長性ある構造架構としています。
さらに、橋床下にテンションケーブルを配置し、張力を導入したプレストレス架構により、木橋に圧縮力を導入し、木部材間の密着度を確保、構造安全性を高めます。クリープ変形などの経年変化後に張力再導入も可能で、長期間の維持管理に備えています。
一方、橋脚基礎部分には、環境配慮コンクリートT-eConcreteの「Carbon-Recycle型」、「セメント・ゼロ型」を採用、建築構造体に初適用しています。
担当
| 担当 | |
|---|---|
| 設計 | 大成建設株式会社一級建築士事務所 |
| 大成建設担当者 | |
| 建築設計 | 関政晴、輪湖大元 |
| 構造設計 | 一色裕二、橋本直樹、森はる奈 |
社外受賞
| 2025年 | AACA賞 入選 |
|---|---|
| 2025年 | グッドデザイン賞 |
| 2024年 | IABSE Project and Techno-logy Awards 2024 作品賞(歩行者・自転車専用橋部門) |
| 2024年 | 日本空間デザイン賞2024 Longlist |