- 用途
- ホテル
- 所在地
- 奈良県奈良市
- 延床面積
- 4,389.12m2
- 階数
- 平屋(旧知事公舎、旧世尊院、SPA棟)、地上2階(宿泊棟)
建築設計コンセプト
奈良公園内で独自の歴史・文化・自然を感じながら滞在できる唯一無二のホテル
緑豊かな約3万m2の本敷地は、日本有数の名勝地である奈良公園内の西端に位置し、東大寺・春日大社・興福寺などの世界遺産に囲まれた奈良公園の玄関口として位置付けられる場所です。国内外からの来訪者がゆったりと滞在・宿泊し風致景観を満喫できる施設が少ないといった背景があり、官民連携で進めた事業です。
築100年を超える旧知事公舎や興福寺の子院の遺構である旧世尊院などの歴史的建築物は耐震補強及び内外部の改修を行い、魅力を更に高めながらホテルの迎賓空間としてコンバージョンをするとともに、奈良の伝統建築の要素を現代的にデザインに取り入れた宿泊棟、和洋折衷の建築様式が特徴的であった既存建物の面影を再現したSPA棟を新築し、デザインコンセプトである「伝統と現代の結び」をもとに、奈良独自の歴史・文化・自然を感じながら滞在できる唯一無二の空間を目指しました。
旧知事公舎
昭和天皇がサンフランシスコ講和条約の批准書に署名した「御認証の間」が残る歴史的価値の高い建築のコンバージョンです。耐震補強を行うとともに、レセプションやレストランに改修し、新旧のデザインが融合した迎賓空間としました。
旧世尊院
文化元年(1804年)に建てられた興福寺のわずかに現存する歴史的に貴重な遺構である子院をカフェとして改修を行いました。外観は原則保存が求められる中、内側の紙障子を透明アクリルにすることで庭と一体となる空間を実現しました。
宿泊棟・SPA棟
奈良の伝統建築の特徴的な要素である「大らかな瓦屋根」や「太い木割の真壁造り」を現代的に表現をした外観デザインとしました。既存の庭・自然は最大限に活かし、極力大きく確保した開口部により内外の連続性を作り出しました。
客室
旧知事公舎などの随所に使われている伝統建築のアクセントの一つである「いばら」の形状を壁や家具に採り込むことで伝統と現代を融合させると共に、自然をモチーフにしたデザインで自然の豊かさを内部にも取り込みました。
構造設計コンセプト
歴史的建築物の意匠を保存しながら安全安心を確保した構造計画
改修工事を行う既存木造建築に対しては限界耐力計算法による補強設計を実施し、耐震リング、荒壁パネルによる補強工事を行いました。床下や天井内に耐震リングを設置し、荒壁パネルは他の壁と仕上をそろえることで、内外の意匠に影響がない形で耐震補強を施しました。
設備設計コンセプト
景観や歴史的建築物に配慮した設備計画
奈良公園の玄関口に位置づけられる場所であり、ラグジュアリーホテルでもあるため、設備機器などは周辺やゲストから見えないよう、建物や塀で隠れるように配置を工夫しました。また、既存建物はホテルとしての機能や性能を満たすための設備更新を施しましたが、外観や内観を最大限保存するため極力意匠に影響がないように配慮した計画としました。
担当
担当 | |
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設計 | 大成建設株式会社一級建築士事務所 |
デザイン監修・インテリアデザイン | 隈研吾建築都市設計事務所 |
設備(実施設計) | 建築設備設計研究所 |
照明計画 | ライトモーメント |
大成建設担当者 | |
建築設計 | 玉井麻由子、尾畑徳彦、鶴見博之、猪野拓史、針谷誠、鬼頭貴大 |
構造設計 | 西本信哉、岩井昭夫 |
設備(基本設計) | 湯浅孝、鈴本真人、安藤直也 |
電気(基本設計) | 湯浅孝、宮嶋禎朗 |
インテリア(実施設計) | 大野博文、佐藤真帆、伊藤誠悟 |
ランドスケープ | 山下剛史、西島知明 |