- 用途
- 病院
- 所在地
- 北海道札幌市厚別区
- 延床面積
- 5,417.48m2
- 階数
- 地上4階、塔屋1階
建築設計コンセプト
ダブルサンデッキ型病室が創る新しい入院環境とまち並み
札幌市厚別区にある88床の整形外科の専門病院の新築移転計画です。フロア構成は、1階に外来や検査、リハビリテーション、2階に手術や厨房、3・4階に病棟となっています。
すべてのベッドが窓を向き、廊下側の病室も眺望を確保したダブルサンデッキ型病室が大きな特徴です。間口が小さい病室により、病室は東西面に集約ができ、両隣に配置される病院との見合いを解消しています。病室は天井高さ2800㎜確保し、それに合わせて大きな開口を設けて開放的な気持ちの良い療養環境としました。
また、西向きの病室には側面を5色の緑で塗分けたルーバーを設置し、日射をコントロールすると同時に病院の顔としてまちに彩を与えています。
シンプルな動線計画としながら、アートやサインを活用し、患者にとってわかりやすい施設づくりを心掛けました。白を基調としながら、随所に設置したカラフルなインテリアが患者の回復へのモチベーションを上げる仕掛けとして機能することを意図しています。
構造設計コンセプト
本建物は新札幌駅周辺に計画されている4棟の医療施設のうちの1棟です。医療施設の他、商業施設、宿泊施設などが計画され、駅と各建物をアクティブリンクと呼ばれる連絡通路で接続する計画となっています。
構造種別は鉄筋コンクリート造、架構形式は純ラーメン構造を採用し、外壁の構造スリットは外装デザインを損なわないように配慮しています。スパンはX方向6.0~9.4m、Y方向6.6~9.2mとしています。
また、2階部分のアクティブリンクとの接続箇所は約3.5mの鉄骨造片持ち形式とし、1層分の屋根と床を構築した上でエキスパンションジョイントを設けた計画としました。
設備設計コンセプト
エネルギーセンター方式(電力・冷水・温水)を提案し、エリア内の建物への供給一元化及びCEMS(コミュニティエネルギーマネジメントシステム)によるスマートコミュニティ形成によって、低炭素まちづくりを実現しました。
空調計画においては停電時でもエネルギーセンターの冷温熱はほぼ100%の供給を継続可能であるため、AHU+FCU方式を採用し全体の9割以上をエネルギーセンターからの冷温熱で空調する計画とし、非常時においても地域の安全・安心な運営が可能な計画としました。また、西側のルーバーによる日射遮蔽効果により、空調容量を低減させ、省エネ化を実現しました。
手術室の空調には内部洗浄が可能なT-OP clean AHUを採用し、手術室内部の清浄度・気流シミュレーションを行い、最適な手術室の環境を計画しました。
照明計画ではLED照明による省エネ化を図ると同時に、要所となる総合受付や病棟のスタッフステーションでは間接照明を採用し、サイン計画と合わせて患者が分かりやすい施設づくりを心掛けました。
また、セキュリティ計画においてはスタッフと患者の動線が交錯しない動線計画とカードリーダー制御により安全安心な施設としています。
アクティブリンクにより複数の建物が接続される今回の計画では、防災設備で街区内の他の建物との相互連絡体制を構築し、街区全体での避難安全計画を策定・実現しています。
担当
担当 | |
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設計 | 大成建設株式会社一級建築士事務所 |
大成建設担当者 | |
建築設計 | 下手彰、出口亮、村上雄一、黒﨑梨紗 |
構造設計 | 池間典一、鈴木太一郎、山川僚太 |
設備設計 | 龍英夫、伊藤里佳子 |
電気設計 | 松村保彦 |
ランドスケープ | 川崎泰之 |
ロゴデザイン | 山﨑信宏、稲垣玲 |