- 用途
- 病院
- 所在地
- 北海道札幌市厚別区
- 延床面積
- 9,841.04m2
- 階数
- 地上7階
建築設計コンセプト
「Warm Natural Modern」心安らぐホスピタルアート
療養・地域包括ケア・回復期リハビリテーションを対象とした185床のケアミックス病院です。
「Warm Natural Modern」をコンセプトに、自然を感じる、あたたかみのある内外装デザインやサイン計画で、多様な外来患者や長期にわたる入院患者への「やさしさ」を表現しました。
無駄のない平面・断面計画により1階、中2階を7mの階高に収め、スタッフ間コミュニケーションを誘発する、吹抜けの職員食堂や職員ラウンジを設けました。
職員の心と体を元気にする「ウェルネスホスピタル」の具現化
病院において診療機能のスペースが優先されることにより、職員アメニティは後回しになりがちという課題があります。
当病院では、人手不足対策の上で職員のウェルネス向上が重要と捉え、新たな提案を行いました。
食堂、会議室、医局、更衣室の結節点に職員ラウンジを配置して一体整備しました。各諸室を利用する際、職員ラウンジでの偶発的なコミュニケーションを意図し、大テーブルやハイチェアカウンター、多人数ソファーなど多様な什器を設置しました。色々な集まり方や使い方が可能となり、休憩だけでなく業務打ち合わせなど、病院版ABWも実現しました。
また、職員ラウンジや廊下各所に、ストレッチサインをアートに組み込んで設置し、空間に彩りをあたえつつ、健康への気づきを促しています。
構造設計コンセプト
街区の顔「アクティブリンク」と接続するため、1階・2階に階高・梁成制限がありました。
建物構成は、1~3階は診察・検診スペース、4階以上が病棟となっています。最適な柱位置等の構造形式について綿密に協議を重ね、プランの調整に時間を費やしましたが、効率的で使いやすい空間を実現しました。
また、屋根の一部を鉄骨化することで、ナースステーション・食堂などに柱が出ないようにして、開放的な空間と見晴らしのよさを確保しました。
「アクティブリンク」とは約5mの片持ち架構の渡り廊下で接続しており、見せる斜材・仕口となるように検討しました。
渡り廊下は設計段階から現場と施工順序について協議しました。
屋根の一部や渡り廊下に鉄骨を用いたため、鉄筋と鉄骨の納まりに苦労しましたが、現場や施工業者と密に会話し、都度納まりの調整を行いました。
設備設計コンセプト
エネルギーセンター方式(電力・冷水・温水)を提案し、エリア内の建物への供給一元化及びCEMS(コミュニティエネルギーマネジメントシステム)によるスマートコミュニティ形成によって、低炭素まちづくりを実現しました。停電時でもエネルギーセンターの冷温熱はほぼ100%の供給を継続可能であるため、AHU+FCU方式を採用し全体の9割以上をエネルギーセンターからの冷温熱で空調する計画とし、非常時においても地域の安全・安心な運営が可能な計画としました。
大空間の透析室の空調には、隠蔽形室内機を採用し、窓際に吹出口を並べることで効率的に窓からの負荷を処理しました。また、長時間滞在する患者に対し直接風が当たらないよう配慮し、快適な空間になるよう計画しました。
利用者とスタッフ、搬出入業者等複数の利用者が入り混じる複雑な動線を建築計画含め明快なセキュリティ計画としました。
透析部門は長時間横になる患者様への配慮として視界に入らないような照明配置とし、色温度を3500Kとする事で温かみのある空間の創出を行いました。
アクティブリンクにより複数の建物が接続される今回の計画では、防災設備で街区内の他の建物との相互連絡体制を構築し、街区全体での避難安全計画を策定・実現しています。
担当
担当 | |
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設計 | 大成建設株式会社一級建築士事務所 |
大成建設担当者 | |
建築設計 | 下手彰、西村浩一、平原佳寿子、杉藤明日美 |
構造設計 | 石澤賢史、池田祥子、池野明里 |
設備設計 | 龍英夫、川島尚子、伊藤里佳子 |
電気設計 | 龍英夫、相馬俊也 |
ランドスケープ | 川崎泰之 |
サイングラフィック | 山﨑信宏、稲垣玲 |
受賞
2022年 | 日経ニューオフィス賞 北海道ニューオフィス奨励賞 |
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