- 用途
- 事務所
- 所在地
- 千葉県木更津市
- 延床面積
- 13,073.02m2
- 階数
- 地上5階、塔屋1階
建築設計コンセプト
海を越えて働きに行きたくなるオフィス
アメリカ・シアトル発の会員制倉庫型スーパー、コストコホールセールの本社ビルです。川崎市内に分散していた本社機能の集約と、店舗数拡大による従業員の増加を見据えたワークプレイス面積の拡張を目的として千葉県木更津市に建設されました。川崎から木更津へ、東京湾アクアラインを渡って通勤する人が増えることと、新たな人材の確保、地域発展に寄与する、働きに行きたくなるオフィスづくりが求められました。
コストコの店舗は倉庫店と呼ばれ、天井の高い店内に商品がダンボールやパッケージに入ったまま箱積みにして陳列されているのが特徴です。広い店内を大型のカートを押して、巡り歩きしながら買い物を楽しむことが宝探し気分を彷彿させ、非日常性を演出することで日々賑わいをみせています。こうしたコストコの特徴と魅力が詰まった「Warehouse Style Office」を設計コンセプトとし、周辺環境と調和しながら、無駄と虚飾を削ぎ落した機能美を追求した内外装デザインとしました。
また、楽しく健康に働ける従業員ファーストオフィスを目指し、コミュニケーションの活性化、自己実現の達成にむけた多様に働ける執務環境の創出、外部環境と共生したウェルネス環境と快適性の追求により、「海を越えて働きに行きたくなるオフィス」を実現しています。
周辺環境と調和した水平基調の外観デザイン
計画地は東京湾から800mに位置し、周辺には高層の建物が無く見晴らしのよい立地です。また、隣地の倉庫店は平屋建てで、コーポレートカラーの赤色の水平ラインが外壁に描かれた建物となっています。こうした周辺のコンテクストを読み込み、どの方位から見ても表の表情をもつ、周辺環境に調和したシンプルな水平基調の外観デザインとしました。
未来につなぐ持続可能なオフィス
脱炭素化にむけた取り組みとして、全熱交換機組み込みの外調機+高効率ビルマル空調方式の採用、COPの高い室外機を採用した空調ゾーニング、机上面照明照度500Lx、断熱性の高いサンドイッチパネルと太陽光を吸収しにくいシルバー色の外装材の採用等により、BEI=0.58のZEB Orientedを達成しています。
また、BCP対策として、1階床レベルを900mmグランドレベルから上げて津波対策を行っています。
構造設計コンセプト
高い耐震安全性を確保した開放的なオフィス
本社建物としてのBCPに配慮し、耐震要素として大成式座屈拘束ブレースを採用することで、地震時の建物の変形を抑え、天井や間仕切り壁などの非構造部材の損傷を防ぐ計画としています。
また、ブレースに地震力の大半を負担させることで部材断面を小さく抑えることができており、柱は550角でCLT被覆を考慮しても650角に抑え、開放的な執務空間を実現しています。一部梁の継手は現場溶接にするなど、天井レスの執務空間の見栄えに配慮した納まりとしました。建物中央のトラス階段は、ササラ成を250に抑えることで軽やかな印象を残しつつ、先端に吊り材を設けることで歩行振動による不快感の無い設計としています。
設備設計コンセプト
3日の事業継続可能とするBCP対策
様々な取り組みにより、本社オフィスとして相応しいBCP対策と環境配慮を主軸に設備計画を行いました。
水損対策として、屋外の受水槽や発電機等重要設備は水損しない高さに設置しました。
停電対策として、建物内の電源を3日分フルバックアップする保安用発電機(2000kVA、本体は別途支給)を設置しました。
また、水源として上水、雑用水は3日分の水量を確保し、さらに飽和対策としてピット内に緊急排水槽を設け、3日分の排水水量を確保しています。
トレードオフの関係にある環境配慮の最適解
センターコアで四周に開口部を持つ厳しい条件の中でも、コストパフォーマンスの良い省エネ技術を積極的に取込む計画によって、「ZEB Oriented」を取得し、地球環境に配慮した計画としています。
また、周囲の風景や海の眺望を妨げないように窓面積を確保することで、就業環境にも配慮した計画としています。
担当
担当 | |
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設計 | 大成建設株式会社一級建築士事務所 |
大成建設担当者 | |
建築設計 | 渡邊岳彦、内藤健吾、西裕子、道ノ本健大 |
構造設計 | 藤永直樹、熊谷成晃、児山陽平 |
設備設計 | 岸野豊、西田敏宏 |
電気設計 | 岸野豊、渡邉瑞稀 |
法規 | 中澤亜紀子 |
木材被覆準耐火鉄骨柱 | 梅森浩 |