WORKS 2020

四国水族館

SHIKOKU AQUARIUM

  • 四国水族館

    エントランス:最大20mの片持ちの大屋根に切り取られた空と、随所に見える楽しそうな様子が来館者を迎え入れる。半屋外の大きな屋根の空間は、瀬戸内の自然と一体になり、時の移ろいを映し出す

  • 四国水族館

    イルカスロープとイルカプール:今までに無いイルカスタンドでは丘を走り回る子供たちやのんびり座り込むなど様々な楽しみ方ができる

  • 四国水族館

    イルカプール:ショータイムでなくても人気のイルカスタンド。自由に泳いだりジャンプするイルカたち。浅瀬をもったプールは大きく広がり、瀬戸内海と一体化する

  • 四国水族館

    中央コリドール:左のせとうちゾーン、右の太平洋ゾーン、奥の渦潮の景や中央の鮫影の景など、自由に周遊することができる空間

  • 四国水族館

    大水槽をつつむスロープ:色々な場所、高さから大水槽の魚たちを眺める事が出来る

  • 四国水族館

    展示空間:今までにない、光る額縁を施した展示。美術館のように、彩られた壁面に額縁で飾られた水槽。スケルトンインフィル化する事で高い可変性と拡張性を持つ

  • 四国水族館

    渦潮の景:渦の下は穏やかな海。時間と共に変化する柔らかい自然光が来館者を魅了する。最高の映えスポット

  • 四国水族館

    鮫影の景:四国水族館のキャラクターであるアカシュモクザメが泳ぐ姿を見上げながら、床に落ちたサメの影も追いかける。天井と一体になったRC壁面による造形

  • 四国水族館

    エントランス夕景:切り取られた夕焼けを取り込むエントランス。夕刻は夕陽に染まり、夜は床面のあかりによって全体が照らし出される

  • 四国水族館

    イルカプール:瀬戸内海と一体になったイルカプールは周囲を隔てるものもなく、来館者との距離がより近くなる

用途
水族館
所在地
香川県綾歌郡宇多津町
延床面積
7,276.75m2
階数
地下1階、地上2階
Technology & Solution:
四国水族館

建築設計コンセプト

瀬戸大橋がつながる香川県宇多津町に「四国水景」をコンセプトとして、官民連携・地域主導の水族館をつくるプロジェクトです。瀬戸内海と時をすごしながら、ここにしか無い体験と、そして何度来ても新しい発見がある水族館としました。
大屋根が宙に浮くエントランスを目の前にすると、イルカスタンドにいる人たちの姿やいくつもの入り口の奥に広がる光景、浮かぶ丸い物、どこへ行こうか悩みそうです。館内は今までの水族館と異なり完全な自由動線になっているので、お気に入りの場所でのんびりしたり、あっちこっち行ってみたり、一人ひとりの楽しみ方で生き物や自然と接する事が出来ます。
柔らかい光に包まれる映えスポットになった鳴門のうずしおを表現した水槽「渦潮の景」。空中を泳ぐシュモクザメの姿と影を楽しめる水槽「鮫影の景」など、生き物たちとの新しい関係を感じる場所が数多くあります。そして、どこにも見たことのないイルカスタンドを作りました。丘のようなスロープで足を延ばしたり横になったりしながら、瀬戸内海と一体になるイルカプールをのんびり眺めることができます。のんびり泳ぐイルカたちは突然大きくジャンプして歓声もあがります。ショータイム以外の時間も人気の場所になりました。
時代の変化に柔軟に対応する事も水族館の大切なテーマです。その為に鉄骨造で大空間を作り、スケルトンインフィルを導入。ほとんどの水槽は工場製作のユニット水槽とし、二重床、乾式壁の採用で高い可変性を持っています。さらに前述の自由動線と大きなゾーン化を採用している事でゾーン毎のクローズが可能となり休館無しの改修工事も可能です。
このプロジェクトは、今回の竣工が目的ではなく、地域と共に発展、成長、変化していく事を目指しています。世代を超えて愛されていくことを期待しています。

構造設計コンセプト

大水槽ホール・展示スペースがある本館棟は大空間が可能な鉄骨造とし、中央にイルカプールのあるイルカプール棟は水槽部をRC耐震壁としたRC壁構造として、2棟をエキスパンションジョイントで接続しています。本館棟内の大水槽、うずしお水槽およびサメ影水槽は、基礎からの立上りRC壁とし本体鉄骨架構から独立した構造としています。
水槽および塩害対策については、水槽内の水に接する部分の梁・壁・スラブは25mmの増打ちとし、外壁及びその他の塩害影響範囲の柱・梁・壁は15mmの増打ちを行っています。また、躯体水槽のひび割れ時の漏水対策として、ひび割れ自癒作用を有する防水混和材を使用しています。
最大張り出し長さ23mのエントランス大庇は、本館棟の柱と兼用したポスト柱および控え柱により支持させ、φ450のポスト柱とφ216の吊材により、浮遊感のあるファサードを実現しました。

設備設計コンセプト

水槽設置位置やプランの工夫により塩害エリアを最小限とし、水族館の特殊要因である塩害・臭気対策を縮小した計画としています。また展示エリアに開放している水槽を設置しないことで、湿度制御の不要な空冷ヒートポンプパッケージ方式を採用しました。照明計画では配線ダクトにスポット照明を設置することで、レイアウト変更の多い水族館の特性に対応しています。飼育設備関係の負荷は発電機によるバックアップを行っていますが、ローテーション運転を行うため、最大同時負荷を考慮し容量が過大にならないようにしています。

担当

担当
設計・監理 大成建設株式会社一級建築士事務所
設計・監理(アクティブフィールド) 株式会社大建設計
施工(アクティブフィールド) サカケン株式会社
設計・施工(ポンプ小屋) サカケン株式会社
デザイン・設計・施工(環境演出) 株式会社乃村工藝社
サイングラフィック 株式会社グリーンフィールドグラーフィク
CM 日建設計コンストラクション・マネジメント株式会社
写真撮影 1、2、3、4、5、8、9枚目:近代建築社 清水向山
6、10枚目:乃村工藝社
大成建設担当者
建築設計 尾畑剛、渕清和、藤悠子、小幡知哉、今川泰江
構造設計 渡辺征晃、武谷政國、永久美優
設備設計 久保田祥彰、清水亜美子
電気設計 久保田祥彰、丹羽章仁、宮田大地

受賞

2020年 日本空間デザイン賞2020 博物館・文化空間 ショートリスト
2020年 第54回 日本サインデザイン賞 入選 四国地区賞

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