- 用途
- 研究所
- 所在地
- 愛知県名古屋市守山区
- 延床面積
- 2,851.48m2
- 階数
- 地上3階
建築設計コンセプト
当建物は、シリコン技術を応用した商品開発を行う開発施設で、クライアントである富士高分子工業の屋台骨を担う再重要拠点です。研究開発は35人程度の開発者が材料試作、素材物性、性能チェックなどのプロセスをそのフェーズごとに行っており、製作・実験機器が効率よく配置された諸室を経由しながら開発を進めていきます。
各々が開発を独自に進めることを主眼に置いたこのフローは、使いやすさが向上する反面、開発者が個々にもつ経験に基づく知識の継承を阻害することにもつながる恐れがありました。そこで、最大限に「知」を共有し、会社の叡智を結集するための空間として、建物の中心に各専用諸室とは対比的な柔らかくカジュアルな雰囲気の共用部を配置しました。
また、企業間の協力関係が重要な成長戦略となりつつある昨今においては、社外に開かれた協業しやすい環境が求められています。一方で、機密情報が多く安定した実験環境を求める研究開発においては、外部から隔離された室環境が必要となります。協業エリアとなるエントランス、コミュニケーションホールのある共用部、製作・実験機器が整備された開発室と、各段階で区画を構成することで、セキュリティレベルを調整できる仕組みとしました。弾力的に運用可能な施設構成により、将来にわたり社内外の叡智が集結し続け、企業の業績向上に寄与することを期待しています。
内部は、建物全体を開発者が自由に働くことのできる場所と捉え、働く環境を選ぶことで主体的に考える人を育む選択可能なワークプレイスとして計画しました。特に、エントランス周りの開放的で明るい空間や、間接照明を配した落ち着きのあるコミュニケーションホール等の共用部では、来客に対しても働く姿が垣間見え、企業の透明性や新しい働き方を発信する場としても機能しています。
構造設計コンセプト
本建物は、鉄骨造のブレース付きラーメン構造とし、ブレースは地震時に安定した構造性能を発揮する大成式座屈拘束ブレース(シェイプアップブレース)を採用しています。
各執務スペースにおいては、外周部や間仕切り壁のレイアウトに合わせて柱やブレースを配置しフレキシビリティに配慮した架構計画としました。また、エントランスは上部屋根を片持ち梁で構成しカーテンウォールに面する柱本数を減らすことで、開放的な空間となるよう計画しました。
設備設計コンセプト
空調は、協業エリアとなるエントランス、コミュニケーションホールのある共用部については1階から3階まで吹抜けを介して連続する空間であるため、吸い込み口を床面付近に設けるなど、空調空気が効率よく循環するよう計画しました。また、コミュニケーションの場としての中心となる2階ホール部に設置されている段床部には、蓄熱材を内蔵した空調吹出口を設置することで、床冷暖房効果及び吹き出し温度の安定化を図り、快適な空間を形成できるように配慮しました。開発施設であるため局所排気等のダクトもありますが、ダクトルートを工夫して外壁ガラリのない外観デザインとしました。
照明は、研究開発部門の社員の方が研究しやすく、かつ、リフレッシュできる照明を目指し適材適所の計画としました。エントランスホールは高い吹き抜け空間であることから自然光を活かした照明計画としました。2階・3階のコミュニケーションエリアにはルーバー天井を活かした間接照明を配置し、調光をおこなうことにより、まるで空からの木漏れ日のような光環境を実現しました。
担当
担当 | |
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設計 | 大成建設株式会社名古屋支店 |
大成建設担当者 | |
建築設計 | 三橋啓史、大塚俊一郎、鈴木康紘、犬飼佳明、髙橋佳代 |
構造設計 | 加藤芳明、杉村真智子 |
設備設計 | 岸野豊、仲村寿人 |
電気設計 | 岸野豊、林幸広、丹羽章仁 |
受賞
2019年 | 日経ニューオフィス賞 中部ニューオフィス奨励賞 |
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