WORKS 2020

Dタワー西新宿

D-TOWER NISHISHINJUKU

  • Dタワー西新宿

    北西側外観:みどりの先端で交差点に向かって建つ「大きな木」

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    北側外観:青梅街道に面し「大きな木」が林立するファサード

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    南側広場(公開空地):緑陰でアソブ

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    オフィスエントランス外観:柱をまとめることで開放感を創出

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    中層外観:コンクリートの「大きな木」ではハタラクとスム、二つの営みが共存する

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    1階オフィスエントランス:「大きな木」の内部空間を表現

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    2階エレベーターホール:樹皮をイメージしたランダムボーダータイル

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    3階オフィス:斜め柱の外殻柱が特徴的な執務空間(木の下でハタラク)

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    20階住宅ロビー:中間部の外殻柱とアルミサッシで構成された枝分かれが作り出す開口部

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    29階住戸:木の上にスム

用途
事務所、集合住宅、飲食店、保育所、自動車車庫
所在地
東京都新宿区
延床面積
39,460.58m2
階数
地下2階、地上29階、塔屋2階

建築設計コンセプト

緑のエッジに建つ「大きな木」

本建物は、新宿中央公園から続く緑の軸(新宿公園通り)と、新宿駅から西へと伸びる都市の軸(青梅街道)の交差点に位置しています。都市における緑のネットワークに属した立地特性を読み取り「大きな木」をコンセプトとしました。
高層部は「木の上にスム」をテーマとした125戸の集合住宅です。中層部は「木の下でハタラク」、1フロア約300坪のオフィスです。低層部は「緑陰でアソブ」、商業・保育施設と公開空地となる広場を整備しました。

打放しPC外殻柱による「大きな木」

外殻柱は中層部のオフィスで幅1.6m、高層部の住宅で幅1.2mです。寸法の異なる柱は中間の構造切り替え部で台形形状となることでスムーズに接続され、アルミサッシによる枝と組み合わされて「大きな木」を表現しています。
柱は3.6mピッチ内外で不均等に配列され、「大きな木」が林立するイメージをファサードに作り出します。低層部では2本の柱を1本にまとめることで、免震装置に効率的に軸力を伝え、株立ちを表現するとともに、低層廻りの開放性を高めています。

構造設計コンセプト

壁柱と免震構造を組み合わせた「TOLABIS(トラビス)構法」

建物外周に壁柱を配置した「トラビス構法」は、建物に高い剛性を与え、地震時の層間変形角を抑制します。建物の高剛性化は、同時に免震効果を高めることに繋がり、地震時の揺れを大きく低減する効果もあります。
外周柱が全体の約80%の地震力を負担することで内部の柱が削減され、事務所階で奥行き18mの無柱空間を実現しました。免震システムには、「ハイブリッドTASS(積層ゴム+弾性すべり支承)」を採用し、地震時に「建物の長周期化」と「摩擦力による減衰効果」を同時に得ることで、大きな振動抑制効果を生み出しました。
オイルダンパーを併用することで、大小様々な地震に対して効率よく地震エネルギーを吸収し、後揺れを低減する効果をもたせました。塔状比の大きな建物の弱点となる「免震装置に生じる大きな引抜力」に対しては、1階で柱を集約することにより長期軸力を集めるとともに、引抜対応積層ゴム支承で対処しています。

設備設計コンセプト

オフィスと住戸の複合ビルにおける設備の独立性

受変電設備、ELV、給排水、ガスを用途毎に系統分けを行い互いの影響を最小限とする計画としました。
オフィスフロアと住宅フロアのコアが偏心しているため切り替え階を設けて設備を展開するとともに、平面的にも各用途が混在しないよう計画し建物の維持、更新性に配慮しました。
防災設備、各設備機器の監視は防災センターに集約し一括管理が行える計画とし、住宅用管理室に副操作盤等を設置することで連携した建物管理が行えるよう工夫しています。

災害時72時間持続するBCP計画

電気設備

水害被害を想定し自家用受変電設備・非常用発電機設備を屋上に、住戸専有部系統の借室を21階に設置しています。
発電機容量は750kVAとし、72時間の運転時間を可能にしています。屋上には10kWの太陽光発電設備が設置されており、停電時は21階のコンシェルジュカウンターに設置されている専用コンセントへ電源を供給することが可能です。

機械設備

給排水ポンプ、防災センター空調、電気室等空調等には保安電源を供給しており停電時も72時間の継続運転が可能です。
インフラ途絶時の対応として事務所・住宅共に飲用水3L/人・日、雑用水30L/人・日の3日分を各受水槽で備蓄し、使用水量合計180m2分の災害時排水貯留槽容量を確保しています。
外構にはマンホールトイレ及び直結給水系統の水栓を設置しています。

見える化

大規模災害時のBCP支援ツール「T-BC Controller」を導入、発電機設備や給排水設備などの見える化を行い、機能維持時間の予測・制御を可能としています。

担当

担当
設計 日本設計・大成建設 設計共同企業体
監理 株式会社日本設計
写真撮影 株式会社川澄・小林研二写真事務所
大成建設担当者
建築設計 (オフィス)中藤泰昭、内藤健吾、坂口香里
(住宅)教誓勉、大塚俊一郎、渡邉智介、松井紀公夫、渡邊英一、林美希子、敦賀谷俊
構造設計 新田隆雄、小林治男、一色裕二、辰濃達、青野英志、櫻井佑美、加納和麻、御所園奈歩、安田佳世
設備設計 山口亮、小野田修二、賀上貴明、安藤直也、倉林陽子、福田まなみ
電気設計 山口亮、小野田修二、中井信雄、松浦尚彦、小澤健司
ランドスケープ 山下剛史、加瀬泰郎

受賞

2021年 日本空間デザイン賞2021 大規模商業施設(又は、複合施設空間)

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