WORKS 2020

愛知県環境調査センター・愛知県衛生研究所 新本館・研究棟

Aichi Environmental Research Center / Aichi Prefectural Institute of Public Health Main Research Building

  • 愛知県環境調査センター・愛知県衛生研究所 新本館・研究棟

    南側外観:外装にシースルー型と単結晶型の太陽光パネルを用いた、環境配慮型施設を表現する創エネファサード

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    南西側外観:シースルー型太陽光パネルで室内からの見通しを確保し、単結晶型パネルで日照負荷を低減

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    鳥瞰:地上、壁面、屋上と連続する太陽光発電パネル。南側中央にはイベント等に使える屋外芝生広場を配置

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    北側外観:近隣に配慮し、有孔折板スクリーンを分節化してボリューム感を低減。壁面緑化で柔かな表情とした

  • 愛知県環境調査センター・愛知県衛生研究所 新本館・研究棟

    エントランス外観:軒天井に愛知県産杉材(間伐材)の羽目板を使用した庇が、来館者をあたたかく出迎える

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    エントランス展示ホール(あいち環境学習プラザ):自由に見学・体感できる環境学習の場。天井ルーバーは県産木材を活用

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    多目的スペース(あいち環境学習プラザ):太陽光採光システム、光ダクト、ライトシェルフ等の様々な環境技術を展示

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    実験室:次世代環境制御技術「T-Zone Saver」による照明・換気の自動制御により、エネルギー消費量を削減

用途
研究所
所在地
愛知県名古屋市北区
延床面積
(新本館・研究棟)8,147.46m2
階数
地上4階、塔屋1階

建築設計コンセプト

愛知県の環境行政の拠点である愛知県環境調査センターと、衛生行政の拠点の愛知県衛生研究所が入る施設の、PFI事業(BTO方式)での建替えプロジェクトです。
愛知県からは、1.県の環境行政、衛生行政の拠点施設、2.「環境首都あいち」にふさわしい全国モデルとなる新エネ・省エネ施設、3.県民に親しみを持ってもらえる施設、という3つの基本方針が示されました。
本施設では、研究・実験の安全性やフレキシビリティを確保するとともに、様々な省エネ・創エネ技術を導入することでBELSにおいて建物の設計段階でのエネルギー消費量を85%削減し、最高ランクの5★(ファイブスター)と公共施設で全国トップクラスクラスとなるZEB(Nearly ZEB)の認証を取得しました。CASBEEにおいてもSランクを達成しています。
県民に親しまれる施設となるよう、1階には県の環境学習の拠点として誰でも自由に見学・体験できる「あいち環境学習プラザ」を設置しました。多目的スペースに設けられた光ダクトやライトシェルフ、太陽光集光装置などの様々な環境技術の見学ができ、エントランスホールの折戸を全開して、屋外のピロティや芝生広場と連続した一体のイベント空間としても利用できるようにしました。エントランスの庇や風除室の天井、エントランスホール天井のルーバーには愛知県産木材を使用し、木の温もりを感じる親しみやすい雰囲気で来館者を出迎える空間としています。
南側のメカニカルバルコニーには、シースルー型と単結晶型の太陽光発電パネルを組み合わせたスクリーンを設置し、室内からの見通しを確保しながら壁面での発電を行っています。日照負荷の低減を図るとともに、環境配慮型の建物を印象づける外観となるようにしました。

構造設計コンセプト

本施設は、大規模地震等の災害時にも、来庁者・地域住民・職員の安全を確保し、継続的に業務が遂行できるようにするため、高耐震性能を有する建物としています。
具体的には大地震時に建築基準法で求められる保有水平耐力の1.5倍以上の耐力を確保し、さらに制振部材(オイルダンパー)を付加することで、建物の揺れと構造躯体の損傷の低減を図っています。
構造形式は鉄骨造のラーメン構造とし、制振部材を間柱型とすることで空間の自由度が高い計画としました。
また、既存躯体をクールピットとして有効活用するために、建物直下に既存躯体が残置する計画としています。既存躯体が新築躯体の下部に位置するため、2階以上の架構をフィーレンディール架構とし、建物南面に25mを超える大スパンを実現しました。
フィーレンディール架構については、施工時解析を行うことで変形を把握し、鉄骨梁にむくりを設け、各層のコンクリートスラブの強度発現後にジャッキダウンすることで、変形を抑制しました。

設備設計コンセプト

本施設では、ZEB(Nearly ZEB)を実現するために、様々な先端性・先導性のある環境技術を導入しています。
最も代表的な技術として、井水や太陽熱等の自然エネルギーを最大限に活用した最先端の超高効率熱源システムがあります。温度帯や流量の異なる2種類の廃温水を1台で効率的に回収可能な「2温水回収ジェネリンク」を採用し、太陽熱とガスマイクロコージェネレーションからの廃温水を各々の運転に合わせて個別に制御することで、必要なガス燃料消費量の削減を行っています。さらに、井水熱源ヒートポンプチラーや井水熱源ビル用マルチエアコンを導入し、敷地内の豊富な井水を冷却水・熱源水として利用することで、熱源設備のエネルギー消費量を削減しています。
人の在、不在情報をもとに、適正に照明・換気制御する「T-Zone Saver」やZEBレベルやエネルギー使用量をリアルタイムに表示し、かつ遠隔監視可能な「T-Green BEMS Lite」を導入しています。
創エネについては、単結晶型とシースルー型の2種類のソーラーパネルを採用しています。Nearly ZEBを実現するための発電量を確保しつつ、採光や眺望性、意匠性に配慮した計画としています。
エネルギーサポートセンターを設置し、運転状況を把握・分析することで運用時のコミッショニングも実施しています。現在も、継続して運用データを目標値と比較しながら、日々運用・運転改善を行っています。

担当

担当
基本設計・実施設計監修・工事監理 株式会社久米設計
実施設計 大成建設株式会社一級建築士事務所
大成建設担当者
建築設計 杉江大典、﨏真介、川岡秀郎
構造設計 渡辺征晃、渡邉祐一、永久美優
設備設計 岩村卓嗣、信藤邦太、井島拓也
電気設計 岩村卓嗣、穂苅伸博、小泉真

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