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WORKS 2019

西覚寺庫裏

用途:庫裏(住宅・会議室)
所在地:山口県宇部市
延床面積:281.26m2
地上:2階

建築設計主旨

境内には40年ほど前から随時増築されてきた本堂・門徒会堂・納骨堂・庫裏・山門があります。
そこへご住職の姪にあたる若いご夫婦の住まい(1階)と寺族用の会議室(2階)を備えた庫裏を増築する計画です。
本建物では、既存の木造庫裏にない高い断熱性と気密性が求められたため、蓄熱効果も期待できるRC湿式外断熱工法を採用し、快適な住空間をつくりつつ、仕上げは既存建物外装に合わせ調和を図りました。
屋根は既存建物に合わせ銅板一文字葺きとし、深い軒が特徴の既存本堂を踏襲するように、軒先をコンクリートの造形によるシャープな構造で実現しました。
軒天に杉板型枠打ち放し仕上げを⽤いることで、シャープな形状の中に木質的な要素を加え、柔らかな印象を演出しました。
また、壁式構造の採用により、室内に柱型のでない整形で使いやすいプランとなるように計画しました。
外観は建物高さを抑え、背後に見える本堂を中心とした寺全体の景観に配慮する一方で、内部空間は軒天から連続する勾配天井により伸びやかな開放感をつくり光に満たされた空間を実現しました。
深い陰影をつくる既存景観を踏襲しながら、インテリアは30代の若夫婦の趣向を反映し、白基調で明るくシンプルにまとめました。

構造設計主旨

柱型梁型を見せない空間を構築するため、構造形式は鉄筋コンクリート壁式構造を採用し、比較的大きな空間である2階会議室と小さな空間である住居にスケールの合わない大きな部材断面が現れない様に、壁(厚さ220㎜)と大型スラブ(厚さ200㎜)にて架構を形成し、フレキシビリティに配慮しています。
建築計画で横連窓の開⼝が多く上下階で通った壁の確保が難しかったため、上下階で平面上位置がずれている壁も耐力壁と評価するために、上下階のずれた壁を繋ぐ扁平梁を配置し応力伝達させることで、不連続で存在する壁を耐震要素として有効に利用する計画としています。
外観は、⻄覚寺敷地内の既存建物に共通する胴葺屋根の形状と調和するよう配慮しています。
庇の元端厚さは600㎜として⼗分な剛性及び耐力を確保し、繊細な先端は厚さ80㎜までテーパーをつけ、シャープな屋根形状を実現しています。

設備設計主旨

本建物は、渡り廊下で既存建物(1階既存庫裏、2階門徒会堂)と結ばれており、インターフォン設備・放送設備など連携が重要なため、客先ニーズに基づき適切な設計を行いました。
照明計画では、勾配天井を活かした間接照明を取り入れ、建築内装デザインとの調和を図り、シーン設定可能な調光装置により、日々の生活の中での使い勝手に見合った演出を可能にしました。
空調機は露出型の機器を建築ルーバー内の中に収納し、デザイン的な配慮とメンテナンス性の良さを両立させました。

担当

担当
設計 大成建設株式会社一級建築士事務所
大成建設担当者
建築設計 渡邉智介、横山恭太、水野裕介
構造設計 藤永直樹、川口恵、壇泰朗
設備設計 熊谷智夫、川崎賢哉、大林茂、冨田峻亮
電気設計 川崎賢哉、中井信雄