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WORKS 2019

軽井沢高原ゴルフ倶楽部 HANARE

用途:ホテル
所在地:群馬県吾妻郡長野原町
延床面積:868.02m2
地上:3階

建築設計主旨

25年前に北軽井沢にオープンしたゴルフ倶楽部の宿泊施設を増築するプロジェクトです。
四季折々の表情を見せる森林に囲まれ、起伏に富み川のせせらぎが聞こえ、西には浅間山を望む敷地です。
その自然の豊かさを引き立て、意識させる建築を考えました。
斜面の等高線に沿って立ち上げた4枚の壁が、地形に寄り添うかたちの空間をつくります。
斜面の土圧を受けるその壁を利用した壁式構造の隙間に、動線や客室を挟み込みます。
重なる曲面の壁と斜面地の断面構成により地形の変化を階層的に体感し、大自然の存在感は壁に切り取られてさらに鮮明に顕在化します。
ゴルフ場の中心施設として吃立する既存本館と、地形に属して佇む「HANARE」の対比は、そこにしかない多様性のある宿泊体験を生み出します。
客室までの道のりや、泊まる場所、時間、季節に応じて、まわりの環境と共に少しずつ表情を変える宿泊施設です。
内部空間は、環境との関係性を空間化しています。
高さ方向の変化を体感する縦動線を施設の中心に置き、アイストップとなる箇所は風景を切り取る開口部としました。
入口から客室までワープするような無体験感ではなく、一連の滞在の中で周囲の環境を知覚する空間構成が場所性をあらわにすると考えました。
ゴルフを終えてから、或いは都会からこの場所にたどり着いたシークエンスの中で、地形や風景を体感し、記憶に残る宿泊体験を提供します。

構造設計主旨

壁式鉄筋コンクリート造を採用し、柱や梁を設けず、基本的に壁のみで荷重を支える構造形式としました。
柱や梁がなく、建物の内部空間を広く使用できるため、スペースの有効活用と階高の低減を図ることができました。
また、既存本館と「HANARE」をつなぐ連絡通路についても同様の壁式鉄筋コンクリート造を採用することにより、壁とスラブのみで構成されたような整然としたディテールを実現しました。
屋上階のスラブは、スラブ受けの壁梁断面を絞ることによって、跳ね出しスラブを際立たせています。
建物周りで地盤面に差があるため、斜面地の偏土圧を受ける外周壁は250~450mmの厚みとなります。
十分な壁厚さがある構造壁は誘発目地のない壁面を可能とし、地形の有機性をより際立たせる役割を担っています。

設備設計主旨

大自然に囲まれた宿泊施設として、昼間はトップライトが共用部へ自然光を柔らかく取り込み、夜間は照度を抑えた間接光によって共用部から客室へと誘導される落ち着きのある動線空間としています。
客室の照明は間接光とアイレベル下の照明に抑え、副交感神経を活性化します。
昼間の柔らかな光と鮮やかな生い茂った緑を親しみ、夜間の静けさに包まれる、外部環境と繋がる照明計画としました。
客室の空調は、室毎に設定が可能なルームエアコン及び天井扇を採用し、個々が感じる快適な温度空間を調整できるよう配慮ました。
換気口においてはベントキャップ等を用いず窓に設置したスリットにより給排気を行い、ソリッドな外壁への配慮を図りました。
また、ルームエアコンとすることで階高を3000mmに抑え、建物の高さを低くし室外機を低層部に集約し、表出する設備を限定することで、周辺環境との調和を図りました。

担当

担当
設計 大成建設株式会社一級建築士事務所
大成建設担当者
建築設計 輿石秀人、西尾吉貴、麻田有希、高橋遼、松延浩人
構造設計 中島徹、大関亜弥、船橋信吾
設備設計 久保田祥彰、日向野亘
電気設計 久保田祥彰、丹羽章仁、野本麻貴