牟田病院新病院棟
- 用途:病院
- 所在地:福岡県福岡市
- 延床面積:11,665.81m2
(うち申請部分7,689.97m2) - 地上:6階
建築設計主旨
本計画は、163床を有するケアミックスの病院と54床の介護老人保健施設等の増改築計画です。
限られた敷地の中で建替えを行うため、既存建物の一部を先行して解体することで、新病院棟をできるだけ既存建物に寄せた配置とし動線を短縮して機能性を高めました。これにより、病院のシンボルツリーである中庭の樹齢約300年のひいらぎの大木を囲むように建物がまとまり、国道沿いがすっきりと開けた地域の人を広く迎え入れる病院としての佇まいを実現しました。
各階の外周には、設備機器スペースとしてスマート・バルコニーを全周に設け、陰影により立体感のある水平ラインが積層するデザインとました。
バルコニー下端レベルを下階の天井高さまで下げ、バルコニー上端をFL+最大55cmに抑えたことで、病室で寝ている患者目線での眺望の確保・下階に対しての日射遮蔽・屋外設備機器と下階の天井ふところからの排気口の目隠し等、多くの機能をもたせました。
外来部門においては、患者動線を回廊状に設け、折上げ天井と間接照明によりその動線を可視化することで、初めて病院を訪れる患者にも分かりやすいウェイファインディングの工夫を施しています。
病棟階では、同様の回遊動線をよりコンパクトに設け、病棟中央のオープンなスタッフステーションが各病室とELV・階段からの出入りを見守ることのできる平面計画としました。
また、来院者動線とサービス動線を明確に分離しそれぞれが交錯しないシンプルな動線計画としたことで、患者・スタッフ双方の利便性を向上しています。
サイン計画においても、サイズを大きくするだけでなく、目的に応じて使い分けた立体的なサインや、各フロアが分かりやすいよう色を分けた病室室名サインなどを採用することで、初めて病院を訪れる高齢の患者にもやさしい計画とするとともに、サインを空間のアクセントとしています。
インテリア計画では、患者が長い時間を過ごす生活空間であることを意識し、木質系のテクスチュアを多用し、さらにやや重厚な色彩の材料を多く用いることで落ち着いた空間を演出しました。
最上階の緩和ケア病棟デイルームからは福岡市の街並みが良く見え、地域の患者が慣れ親しんだ風景の中で療養できる環境を実現しました。
構造設計主旨
新病院棟は、桁方向6.4m×8スパン、梁間方向8.2~9.9m×3スパンの平面形状を有する44.8m×28.0mの整形な建物です。
構造種別は鉄筋コンクリート造とし、架構形式は耐震壁付純ラーメン構造、基礎は地盤改良による直接基礎独立フーチングとしています。
建物外周のバルコニーは、設備機器スペースとしての機能に加え、外観デザインのポイントである立体感のある水平ラインを実現するため、PC化することで躯体の寸法精度を確保するとともに、施工性にも配慮しています。
設備設計主旨
快適な医療空間の提供を目指し、ランニングコストを抑え、維持管理が容易な設備計画としました。
病室の空調は、天井カセット型のルームエアコンとし、室毎に空調の入切や冷房暖房の切替が容易にできるようにしました。患者にドラフトを感じさせないように、ベッドに直接風が当たらないような室内機の配置としています。
また、病室には光源によるグレアを抑えつつ明るさ感と安らぎ感を与えられる間接照明の「T-LED BED Light」を採用し、患者に優しい光環境を提供しています。
病棟階の平面計画では床面積を有効に利用するために、空調機械は最上階に集約して設け、各フロア毎に給気ダクトを立ち下げる計画としました。
既存病院では井水を雑用水利用していたため、新病院も同様な計画とし、井水を便所洗浄水に利用することで水道代の削減を図りました。
また、西部ガスとの協議により、1階の外来系統にGHPを採用することでガス料金単価を下げる計画としました。
担当
大成建設担当者 | |
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建築設計 | 松村正人、坂井明雄、桂悠花 |
構造設計 | 中川路勇、池間典一、篠崎主弥 |
設備設計 | 龍英夫、川島尚子 |
電気設計 | 龍英夫、宮嶋禎朗、箭内伸司 |
インテリアデザイン | 徳野博子 |