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WORKS 2018

ラ・トゥール南麻布

用途:集合住宅
所在地:東京都港区
延床面積:28,570.44m2
地下2階/地上12階

建築設計主旨

広尾駅より徒歩2分、有栖川宮記念公園を北側に臨む7000m2超の希少性が高い広大な敷地に、高級賃貸マンションとして当建物は計画されました。
計画地は、変形した路地状敷地のため、周回する敷地内通路の確保等の配慮を行い、安全条例第10条の認定をクリアしています。専有面積の確保と厳しい日影規制をクリアすべく、平均地盤面の調整と共に、階段状の複雑なセットバック形状と住戸プランの精査によりこのボリュームを実現しています。
外観は周辺と一線を画した存在感を放っています。重厚なゲートの門構えによる結界、その奥に広がる広大な敷地に十分な引きを確保したホテルのように設えられた車寄せの先には、彫りの深い陰影を持つ石張りとガラスのファサードが屹立し、階段状のボリュームにリズムを刻み一体感を作り出しています。
品格ある佇まいのエントランスホールは、高さの異なる2層・3層吹抜けの大空間の先に、光と緑に包まれた中庭を取り込んだ計画としています。
上質な空間に加えて、コンシェルジュ、ヴァレーサービス対応など手厚く行き届いたサービスが居住者の満ち足りた生活を支えています。

構造設計主旨

階段状の住戸配置を実現するため、構造計画上、高層棟と中層棟2棟に分け、中庭を囲むように配置しています。
各棟とも外部に対して開放的な空間を目指しながら耐震性能を確保する為、住戸境を耐震壁として有効に活用しています。
南側の12m×12mの住戸プランについては、中央に1本の柱を配置することで、居住性を確保し内部に梁型の出ない自由度の高い空間を構築しています。
その他の住戸についても中空スラブの採用によりスパン8~11mの大空間を実現しています。
複雑かつ内部空間の最大活用を目指した住戸環境の実現のために、逆梁や送りパラペット、プレストレスによる4mもの跳ね出しスラブ、設備スリーブの貫通確保など、丹念に調整を行いました。

設備設計主旨

上質な空間を実現するために、各種設備は目立たないように、徹底的に配置・納まりの工夫・色合わせ等の配慮をしています。
照明計画は間接照明を主として計画し、ルーバーや格子をもつ陰影のある空間を演出しています。
住まう方の負担にならないように設定された複数の機械的なセキュリティシステムと、5基の住宅用エレベーターによる居住者各々の住まう階・ゾーンにのみアクセス可能とした高いプライバシーを確保しています。
48時間居住環境を維持可能な非常用発電設備や防災井戸、マンホールトイレなど配備し災害にも十分に備えています。
そして徹底した管理運営を加え、幾重にも守られ、快適で安心なすまいを実現しています。
バルコニー面に設置される空調室外機と給湯器は必要な換気開口を確保した目隠しルーバーで囲み、機能を保ちつつ、住戸からの見映えと外壁の素材感を損なわないように配慮しています。

ランドスケープ設計主旨

「3つのみどり」を基軸にこの特別な邸宅に彩りを添えるランドスケープデザインを展開しました。
エントランスゲートの奥行きを意識させる、フラットに刈り込まれたササ、車廻しの象徴的なシンボル樹や整然と並ぶアプローチの並木が「邸宅の顔となるみどり」としてフォーマルなエントランス空間を演出します。
建物に囲まれた中庭は、光を取り込むことを意識し、3層吹抜けのエントランスホールがガラス越しに中庭と連続する広々とした空間構成とし、住戸側のプライバシーを確保する配慮を絡めた樹木配置としています。
また、生活空間の近くにみどりが感じられるよう、有栖川宮記念公園と視覚的にみどりがつながる屋上緑化を随所に設け、「上質な佇まいを演出するみどり」を創出しています。
ドイツ大使館に面する敷地東側の緑地は、隣接する有栖川宮記念公園の森と同じ樹種構成とすることで地域の森を拡げ、「地域と調和するみどり」としています。
敷地全体を通して、外構の要素を絞り込むデザインを展開し、ミニマルな外部空間とすることで建物に調和し、また建物の意匠性を強調させることを目指しました。

担当

担当
デザイン監修
(外観・エントランスホール他)
住友不動産株式会社
デザイン監修
(住戸内装)
アシハラヒロコデザイン事務所
設計 大成建設株式会社一級建築士事務所
大成建設担当者
建築設計 村元徹、渡辺修、三輪淳彦、佐藤彰威、柴田裕子
構造設計 井上慶一郎、宮原貴昭、小野森司、川岡千里、大関亜弥
設備設計 小野田修二、大林茂
電気設計 小野田修二、中井信雄、種市文彦
ランドスケープ 山下剛史、小倉満、西島知明