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WORKS 2018

市原市役所 第1庁舎

用途:庁舎
所在地:千葉県市原市
延床面積:8,592.08m2
地上4階

建築設計主旨

本建物は、築40年を経ていた第2庁舎(旧本庁舎)の老朽化に伴った減災対策、防災拠点機能の増強、窓口サービスの向上等を目的とした増築計画です。窓口業務が主となる執務エリアを1~3階に、市長室や大会議室などの行政事務エリアを4階に配置し、2階で第2庁舎と接続しています。

フレキシビリティの高い執務エリア
建物南北にコア機能を集約し、中央部に執務エリアを配置した明快な平面計画となっています。この執務エリアをフレキシビリティの高い空間とするために、建物外周部を鉄筋コンクリート造の柱・壁・梁で構成し、内部の梁を鉄骨としたハイブリッド構法を採用しました。
それにより外周部を固めて地震力を外郭で負担させることで、執務エリア中央部の柱を2本とし、レイアウトの自由度が高く、見通しの良い開放的な空間を創出することに成功しました。

歴史的景観演出と環境制御機能をもつ庇
外観を特徴づける奥行きの深い庇は、市原市の歴史を象徴する上総国分寺七重塔の庇をモチーフとしたものです。この庇は歴史的な佇まいを演出すると共に、執務室への光を調整する環境制御装置としても機能します。
窓には中間期の自然通風や発災時の安全確保のための自然換気窓を設け、階段室の重力換気と塔屋の自動開閉制御サッシよる自然換気システムにより、快適性と空調エネルギー削減の両立を図っています。

防災拠点としての庁舎
災害時に防災拠点として機能させるため、大小の揺れに対して免震効果を有効に発揮することができる独自の免震システムを採用しました。また、電源の多重化、上水用耐震性貯水槽による飲用水の確保等の対策を行っています。
新庁舎建設にあたり、当該敷地内に植えられたシンボルツリーのイチョウの木を伐採することとなりましたが、1階の家具に再生してその歴史の記憶を継承することとしました。市原市の歴史と環境を意識し、人と人のつながりを生む、地域と人に寄り添う庁舎を目指しました。

構造設計主旨

構造種別は、外周部を鉄筋コンクリート造、室内を鉄骨造梁及び鉄骨鉄筋コンクリート造柱とした複合構造です。
建物の両側に配置されたコア部分の外壁を耐力壁として利用し、地震力のほとんどを、耐力壁を含む外周RC架構で負担する計画としました。
地震力をほぼ外周部のみで負担させることにより、執務室内部は30.8m×16.8mの平面が3連続する空間を2本の柱のみで構成し、フレキシビリティを有した機能的かつ開放的な空間を実現しています。
免震システムには積層ゴム支承と弾性すべり支承を組み合わせた「ハイブリッドTASS構法」を採用し、加えてオイルダンパーを配置することにより、中小地震時に発生する小さな揺れから大地震における大きな揺れまで対応できる優れた免震効果を得られる計画としました。

設備設計主旨

災害対策拠点としてのBCP対応、快適性や機能性、環境への配慮を行っています。
BCP対応としては、建物の免震構造加え、機能維持のため各種インフラの多重化を行っています。
電力確保のため非常用発電機、コジェネレーション発電(以下CGS)、太陽光発電、無停電装置を設置しています。
空調は、発電機電源によるEHP空調と冗長性の高い中圧ガスによるGHP空調を併用しています。
1500人×7日間分の飲用水や生活用水を確保し、下水道の途絶にも備えて建物下部に緊急排水槽を設けています。
環境配慮としては、太陽光発電や自然換気、昼光利用など、BCP対応や快適性・省エネルギーを両立できる自然エネルギーを積極的に活用しています。
また、LED照明やCGS排熱の空調利用などの省エネルギー性の高い設備機器を採用し、更なる省エネルギーを行っています。

担当

担当
基本設計・監理 株式会社昭和設計 東京事務所
実施設計 大成建設株式会社一級建築士事務所
大成建設担当者
建築設計 伊勢季彦、渡辺岳彦、木野史朗(前期)、浅野晃宏
構造設計 網干眞一(前期)、渡辺征晃(後期)、武谷政國、神崎聡美、天羽祥太
設備設計 熊谷智夫、山口亮、庄司朋子、鈴木拓也
電気設計 熊谷智夫、山口亮、小林徹也(前期)、松浦尚彦(後期)、小澤健司(前期)

社外受賞

2018年 第52回 日本サインデザイン賞 関東地区賞