ベトナム東京健康科学大学2期
- 用途:大学(保健医療)
- 所在地:ベトナム ハノイ
- 延床面積:3,731.00m2
- 地上:3階
建築設計主旨
パッシブデザインとベトナムローカル材料・工法の融合
この大学は保健医療分野の人材不足を解消するために、ベトナム学生に日本の高度な保健医療技術(看護・リハビリテーションなど)の教育を提供するものです。
同敷地に2016年開校した1期校舎にブリッジ接続する形で2期校舎を計画しました。
1期校舎でも採用した「ブリック透かし積スクリーン」「深い庇」を用いた日射制御に加え、新たに「メカニカルシャフト(重力換気を利用した排気塔・パイプスペース)」を外観デザインのアクセントとしました。
「ブリック透かし積スクリーン」は、西日を制御し室内に適度な光を透過すると同時に、外部の植栽への視界も確保しています。
また、刻々と変わる木漏れ日のような光が優しい室内空間も実現しました。
味わいのある職人手わざの残るブリック組積壁は、光と影を纏うことで、単調になりがちなモルタル壁にブリック素材の重厚感を与え、同時に透かし積みによってリズムと軽快さも醸し出します。
意・構・設の融合したデザインに加えて、高温多湿で日差しが強いベトナムの気候に適した現地の材料や工法を取り入れることで、自然採光や重力換気を最大限に活かした教育施設を実現しました。
構造設計主旨
ベトナムで一般的な鉄筋コンクリート造にブリック壁の様式を用い、日本では一般的ではない圧入杭を用いて建物を地盤に支持しています。
また、ベトナム人は普段から店先やテラスなどの屋外スペースを日常スペースの一部として上手に取り込み生活しています。
その風習を空間に取り入れるために、2階テラスの上部には、ベトナム特有の強い日差しとスコールから学生を守る大庇をかけ、授業の合間には学生の憩いの場となる半屋外テラスを生み出しました。
ベトナムでは一般的ではない日本の構造技術(CFT:コンクリート充填鋼管構造)によって支えられたテラスはフラットで伸びやかな印象も同時に実現しました。
設備設計主旨
外壁に設置したメカニカルシャフトは、配管・ダクトの目隠しだけではありません。
機能的にも重力換気効果を利用しており、教室・実習室からの排気を窓近くのバルコニー部分に滞留させることなく屋上で排気することを目的としています。
また、シャフト外壁が日射にて温まることで発生する駆動力も利用した「排気塔」として、下部のブリック開口から空気を取り入れ、屋上のフードから排気するという効率的な空気の流れ「サーキュレーション」を生み出しています。
また、同時にCFD解析により、最適な開口のサイズや位置を検証・デザインしました。
担当
担当 | |
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設計 | 大成建設株式会社一級建築士事務所 +ベトナム現地法人(VINATA International) |
基本構想 | 学校法人早稲田医療学園 |
大成建設担当者 | |
建築設計 | 前田康貴、荒巻剛哉、宮本勇樹 |
構造設計 | 太田雅昭、平田努 |
設備設計 | 仁志出博一 |
電気設計 | 仁志出博一 |
社外受賞
2017年 | Spec Go Green International Award(国際環境デザイン賞)トップ10 |
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