JRゲートタワー
- 用途:事務所、ホテル、店舗、バスターミナル、駐車場
- 所在地:愛知県名古屋市中村区
- 延床面積:264,484.64m2
- 地下:6階/地上:46階
建築設計主旨
1日100万人以上が利用する中部地方最大のターミナル拠点「JR名古屋駅」を核として、新たに「JRゲートタワー」の建設により、国際都市名古屋の玄関口のターミナル機能を強化し、豊かな都市空間を創造します。
JRゲートタワーは、高層部にオフィス、ホテル、低層部には商業施設、レストラン街、保育所、スポーツジムなどの多用な都市機能を集積した新たな価値を生み出す駅施設です。
既存駅施設JRセントラルタワーズと合わせてトリプルタワーを構成し、低層各階での接続による一体運用で、約68万m2の巨大な複合立体都市となります。
総延長250mに延伸接続された15階スカイストリートは、シャトルエレベーターにより地上と直接結ばれ、公共的な立体街路として人の流れを駅上の魅力ある施設や空間に導き、人々が憩い集う利便性の高い空間となります。
1階はバスターミナルの集約化を行い、地下のリニア中央新幹線駅空間の整備と合わせて将来に向けた交通結節機能の強化を図ります。
2階の歩行者貫通通路は、駅北側地区へ人の流れを誘発する都市的な街路と位置づけ、1階・地下の歩行者通路と絡めて歩行者ネットワークを構築し、地下鉄や地下街との接続利便性も向上します。
将来のリニア中央新幹線開業に向け、名古屋駅を核とした街の発展に大きく寄与することを期待しています。
構造設計主旨
地上のオフィス・ホテル・商業といった多用途を積層するため、設備階を利用した「メガトラス」と建物の心棒となる「連層コアブレース」からなるスーパーフレームによって自由な柱レイアウトを実現しています。
1階バスターミナルや地下階の将来リニア中央新幹線施設に対応した大スパン実現のため、高軸力となる低層階柱に超高強度材料を組み合わせた高強度CFT柱を採用しました。
なお、地下の中央新幹線計画に配慮した柱幅とするため、最大2,000mm×900mm板厚100mmの長方形断面としています。
また、地下の大空間確保のため、その上を横断する既存の鉄道営業線名鉄函体を本建物構造で受けかえる必要がありました。
そこで、厚さ2,000mmのプレストレストRC造スラブとその両側の厚さ1,200mmの壁梁からなる逆梁構造(下路桁)によって函体を支持する計画としています。
また、鉄道走行により発生する固体伝搬音を低減するため函体とビル躯体との間に防振材を設置し、地上のホテルやオフィスへの静ひつ性能目標値を満足しています。
設備設計主旨
名古屋駅も含めた地域一体としての大規模複合施設の安全性確保を目的として、「JRゲートタワー」、既設のJR名古屋駅、「JRセントラルタワーズ」それぞれの利用実態に合わせて最適な防火防災管理が行えるよう、火災に関する情報を相互に伝達し連携する機能を有する、複数の総合操作盤による防災システムを構築しています。
また、自然エネルギー活用による環境に配慮した設備システムを構築し、雨水・井水の雑用水利用、太陽光や井水熱を利用した空調予冷システム、貫通通路の吹抜け空間への自然換気利用など、自然エネルギーを積極的に活用し、屋上緑化や高性能Low-Eガラスと方位に合わせた縦フィン・庇を設けることで、ヒートアイランド現象の抑制と建物の断熱性能を向上させ、建築物の環境性能評価システム「CASBEE nagoya2010」においてSランクを実現しています。
担当
担当 | |
---|---|
設計統括 | 大成建設株式会社一級建築士事務所 |
デザインアーキテクト | Kohn Pedersen Fox Associates PC |
実施設計 |
大成建設株式会社一級建築士事務所 株式会社日建設計 ジェイアール東海コンサルタンツ株式会社 【名古屋駅新ビル(仮称)実施設計共同企業体】 |
大成建設担当者 | |
総括 | 塩谷尚斉、畠山卓也 |
建築設計 | 清水貴裕、杉浦大輔、犬飼佳明、小西桃子、野村佳代、大塚俊一郎 |
構造設計 | 小室努、藤山淳司、堀井良浩、渡邉祐一、村瀬正樹、調浩朗、加藤芳明、武田基、杉村真智子 |
設備設計 | 村田義郎、岸野豊、岩尾正樹、林寛和、賀上貴明 |
電気設計 | 林幸広、小林徹也、小林卓哉 |
社外受賞
2017年 | 第62回 鉄道建築協会賞 最優秀協会賞 |
---|---|
2017年 | 日本鉄道施設協会 プロジェクト部門 協会賞技術賞 |
2017年 | 土木学会 技術賞 |
2017年 | 優良消防用設備等消防長官表彰 |
2017年 | 第49回 中部建築賞 特別賞 |
2018年 | 平成29年 照明普及賞 |
2018年 | 平成30年度 CFT構造賞 |
2018年 | 2018年度 日本鋼構造協会業績表彰 業績賞 |
2018年 | 第59回 BCS賞 特別賞 |
2019年 | 作品選集2019 |
2019年 | 第30回 電気設備学会賞 技術部門 優秀施設賞 |
2020年 | 第34回 空気調和・衛生工学会振興賞 振興賞技術振興賞 |