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WORKS 2017

espoir 目黒/梅澤濱夫記念館 目黒

用途:寮、記念館
所在地:東京都品川区
延床面積:894.32m2
地下:1階/地上:2階

建築設計主旨

都市環境に応答し、触媒のように振舞う
微生物化学研究所に併設される、海外研究員のための寮施設と、研究所の創設者の記念館からなる建築です。
敷地は崖と首都高の通る幹線道路に挟まれ南北に細長く、接道が約60mに対して、奥行きは約5~9m程度です。
プロジェクトは崖上の研究所建替え計画が発端です。
その際、崖部分の老朽化した擁壁の造り替えが必要になり、本建築計画も合わせて行なう話に発展しました。
都市の谷間ともいえる狭隘な敷地の中で、研究所の地盤を支える擁壁と、幹線道路に対峙する建築を融合させる必要がありました。
長辺方向の耐震壁を擁壁に集約させることで、道路側の構造的自由度を高め、大開口の明るい寮室を実現しています。
都市に呼応する伸びやかなスラブ表現と、表裏で素材感の異なる繊細なフィンを連続させ、街にリズムを刻みます。
アクセントとなる素地ベニヤ型枠打放し面の、一見粗雑な木質感が刻々と移り変わる微妙な光の変化を表情豊かに映し出します。
住空間に対してはフィンの白い面が、通りからの視線を抑えながら柔らかな光を呼び込み、幹線道路沿いの都市の喧騒感を和らげています。
繊細なフィンは環境を浄化する微生物の「触媒」ように振る舞い、都市空間と住空間、双方の環境を調和させます。
こうして生まれる佇まいそのものが研究所の「新たな顔」となることを目指しています。

構造設計主旨

南北に細長く、西側の最大高さ8.5mの崖を有する敷地を有効に活用するために、建物の構造体と擁壁を一体とする構造計画としています。
建物長辺方向は、土圧を受ける西面に耐震壁と擁壁を兼用した厚さ1000mmの壁を配置した壁構造、これに直交する短辺方向は、各スパンに控え壁を配置した耐震壁付ラーメン構造としました。長辺方向の壁を西側に集約することで、耐震性能を確保しつつ、幹線道路に面する東側の開放性を実現しています。
また、短辺方向の土圧によって建物に生じる転倒モーメントに対し、壁やスラブを厚肉としたカウンターウェイトと最大径1500mmの場所打ち鋼管コンクリート杭により抵抗することで、狭い敷地の中でも土圧に対して安全な計画としています。

設備設計主旨

寮室や共用廊下の建築表現に寄り添うような設備計画を目指しました。
寮室には壁付けLED照明器具を採用して打ち放しコンクリート直天井を生かし、また、器具上面から漏れる光によりコンクリート面を照らすことで、室内に温かみを加えています。
地上2階建で、奥行きが小さい建物の特性を生かして寮室の空調室外機をバルコニーではなく屋上に設置し、外観をシンプルに見せるとともに、室外機からの排熱効率を高めています。
バルコニー面に設置される給湯器は必要な換気開口を確保した全面目隠しパネルで囲み、機能を保ちつつ、外壁の素材感を損なわないように配慮しています。
共用廊下は厚みのある金属板を用いた間接照明により、擁壁の迫力や素材感を損なわず、かつ、十分な明るさを確保しています。

担当

大成建設担当者
建築設計 三浦友己、横山恭太 松島拓司 水野裕介
構造設計 渡辺征晃、渡邉祐一、赤木光志
設備設計 熊谷智夫、吉田典彦
電気設計 熊谷智夫、種市文彦、山梨絵美

社外受賞

2018年 平成29年 照明普及賞
2018年 2018年度 日本建築家協会優秀建築選(100選)
2019年 作品選集2019
Technology & Solution:
微生物化学研究会 espoir 目黒 /梅澤濱夫記念館