TSURUMIこどもホスピス
- 用途:児童福祉施設等(コミュニティ型こどもホスピス)
- 所在地:大阪府大阪市鶴見区
- 延床面積:979.11m2
- 地上:2階
建築設計主旨
2016年4月、大阪鶴見緑地公園にオープンした、在宅看護の難病の子どもと家族を民間の寄付によって支える日本初の「コミュニティ型こどもホスピス」の計画です。
日本に前例のないプログラムに対し、まずここでの生活のシーンを想い描く事から始めました。
ここで過ごす時間の中には楽しいだけでなく辛いときもあります。
そこで「その時の気持ちに応じて居場所が選べること」「それぞれの居場所が孤立せずに緩やかにつながっていること」が大切だと考えました。
家のようにくつろげる空間であるだけでなく、多様な空間やスケール・居場所があり、繋がりの持てる村のような場所を目指しました。
建物は、「6つの家」が「道の空間」によって繋がっています。
家には様々な特徴をもった部屋があり、楽しさや喜びに溢れる場面に出会えます。
家々の間には小さな溜まりのスペースやいろんな形の庭があり、少し離れて休んだり、時には隠れて泣いたりもできます。
道の空間は公園全体へ伸びていき、地域全体で子どもと家族を支える拠点となるよう計画しました。
民間の善意によって支えられる日本初の「コミュニティ型こどもホスピス」を継続していくには理解と支援が必要です。
そのためにも利用する子どもと家族そして支援するすべての人の心を動かすようなやさしい風景となることを目指しました。
この風景が社会に広まり、第2第3のコミュニティ型こどもホスピスの道標となる事を願っています。
構造設計主旨
「6つの家」は「道の空間」によって繋がる構成で、これら全体を構造的に一体で計画しました。
建物全体の地震力を「6つの家」に負担させ、「道の空間」に耐力壁が一切ない構造とすることで、家々での活動の様子が視線で繋がり、中庭だけでなく地域に開かれた場となります。
1階の「おおきな部屋」では、多様な活動が可能になるように柱の無い大きな空間が求められました。そこで、家型の断面形状を活かした大きな家型トラスフレームを組むことで、10m×10mの無柱空間を実現しています。
設備設計主旨
「6つの家」には、家型エアフローウォールやアルミ樹脂複合サッシを採用し、断熱性能を高めることで、安定した温度環境の中で安心して活動できるよう計画しました。
「道の空間」は、壁を設けない開放的な空間をLow-Eペアガラスで形成、吹抜けによる温度差を利用した重力換気、季節風を考慮した平面計画による自然通風、南面縁側デッキに設けた弧を描く深い庇などにより、出来る限り空調設備に頼らない計画としています。
夏季の熱負荷が大きくなる南西面の外壁は、外壁からの熱負荷を効率的に排熱する家型エアフローウォールを設けています。
熱環境性能を向上させつつ、設備部材が露出しない家型壁面は、端正なディテールと相俟って美しい佇まいを見せています。
担当
担当 | |
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設計 | 大成建設株式会社一級建築士事務所 |
家具デザイン | 藤森泰司アトリエ |
照明計画 | シリウスライティングオフィス |
カーテン | 安東陽子デザイン |
大成建設担当者 | |
建築設計 | 片瀬順一 出口亮 麻田北斗 |
構造設計 | 井上慶一郎 大石哲哉 百武亜希子 |
設備設計 | 小野田修二 久保田宗人 倉林陽子 |
電気設計 | 小野田修二 三宅英司 |
ランドスケープ | 山下剛史 木川薫 |
社外受賞
2016年 | 第26回 AACA賞 奨励賞 |
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2016年 | 日本建築家協会優秀建築選 |
2016年 | 日本建築学会大会建築デザイン発表会 優秀発表 |
2016年 | グッドデザイン賞 |
2016年 | 第10回 キッズデザイン賞 優秀賞 少子化対策担当大臣賞 |
2017年 | 第58回 BCS賞 |
2018年 | 第37回 大阪都市景観建築賞 奨励賞 |
2018年 | 第16回 環境・設備デザイン賞 建築・設備統合デザイン部門 入賞 |
2018年 | 作品選集2018 作品選集新人賞 |
2018年 | 日本建築学会作品選奨 |
2020年 | 第17回 公共建築賞 地域特別賞 |
2021年 | 令和3年 日本建築士会連合会賞 奨励賞 |
- Technology & Solution:
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