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WORKS 2016

パスカル大分新管理棟

用途:管理事務所
所在地:大分県国東市
延床面積:235.86m2
地上:1階

建築設計主旨

伊丹に本社を置くパスカル株式会社の社長の宿泊ゾーンと客先をもてなす会議ゾーンが一体となる施設です。
極力シンプルな形態・素材とすることで、緑に溶け込む建築を目指しました。
床から天井までのガラスには周辺の緑化が鏡像として映り込み、緑に包まれた空間を実現しています。
また、全体デザインの統一感を図ると共に九州の強い日射しを軽減するため、庇の出を大きくした大屋根を設けています。
会議ゾーンと宿泊ゾーンとの間には、大屋根の下で一体的でありながらも意識的な用途の分離を行う「無用の用」の半屋外空間(屋外ホール)を配置しています。
入口アプローチは、開口を絞り込み、あえてシンボルツリーのみを見せるようにしています。
壁は、暖かい木の温もりを心地よく感じられるよう、内外部に杉板貼りを採用すると共に、保護塗料材の色を木材1本1本に合わせて違った色調合にするなどの他、納まりやディテール部分までこだわった設計を行っています。
また、敷地全体のマスタープランの再構築を含め、工場・食堂・管理棟が庭園の中に佇む施設を想起させる緑化計画を行っています。

構造設計主旨

本建物に求められた与条件としては、以下の3つがありました。
1.大屋根に覆われた木調建物のイメージを具現化 
2.彫りの深さを表現するとともに九州特有の日射負荷の抑制を図るはねだし2.7mの大庇屋根
3.将来の間仕切り変更に対応しやすいように配慮
これらの条件を満たすべくH型鋼ブレース工法にて計画を行っています。
ブレースの位置は板張りの壁をバランスよく配置できる位置に持っていくことで、木造壁式パネル工法的なデザインを実現しています。
また、板張りの壁で囲む部分が設備シャフトとして機能し、専用空間に広がりを与えているとともに構造柱が1本も見えない平面計画を行うことで、木調風合いをより醸し出すことに貢献しています。

設備設計主旨

工場へ訪れる来客用の会議室とオーナーの利用する居室という二つの目的をもった建物のため、設備的には各々単独の設備構成となるように配慮しています。
室用途を考慮し、建物全体は大きな屋根と庇で構成され、「静」の空間を感じる建築となっています。
空調はドラフト感を低減させるため、スリット形状の制気口を壁際に全て配置すると共に、空調機器運転音を感じさせないように、隠蔽型空調機をバックヤード天井内に配置し、静穏環境を形成しています。
さらに、お客様をもてなす空間となるため、空調設備が表に表れることのないようさりげなさを求められました。
給気口は庇下軒天井部分に、吹出口は内部天井にと板割りにあわせたスリット開口を設け、極力設備の存在をなくしています。
大庇の効果もあり、安定した空調環境を実現しています。
コンセントやスイッチ等も板割りに合わせ、ケンドン式の板をかぶせることでその存在を消しています。
真に木の風合いに触れ、外部の緑を楽しむ空間となるよう配慮しています。
外部室外機においても、外壁ルーバーの内側一部を室外機置き場にすることで、室外機を外部から見せない工夫を行っています。
照明については、彫りの深い天井開口部にダウンライトを仕込む、あるいは間接照明の適切配置及びスタンド等による光の分散を図ることで、空間に幅を持たせることに注力しています。
外部の庭と内部空間、さらに「無用の用」のテラス空間が一体となる外部照明を行うことで、自然に溶け込む建築を実現しています。

担当

担当
建築・設備設計 大成建設株式会社一級建築士事務所
構造設計 ラメラ設計 渡辺勸
大成建設担当者
建築設計 平井浩之
設備設計 根本昌徳、湯浅孝、福間麻里子
電気設計 根本昌徳